2011年9月7日水曜日

『演歌よ今夜も有難う』特設サイト、リニューアル!


すでにツイッターなどでご存じの方もいらっしゃるでしょうが、『演歌よ今夜も有難う』発売にあわせて平凡社で設けていた特設サイトが、JASRACからのお達しにより、継続できないことになってしまいました。

本書の中で取り上げた17人のアーティストは、いずれもインディーズ演歌歌手として活動を続けてきたひとびとです。ロックやヒップホップなら、大きなCDショップに行けば「自主制作盤コーナー」があるし、インディーズの取次会社もあるので、自分たちでCDさえ焼いてしまえば、日本全国に流通させることが可能です。

しかし演歌の場合は、タワーレコードのような大手CDショップはもちろん、どんどん数を減らしている昔ながらの演歌専門レコード店でも、基本的に取り扱ってくれることはありません。つまり演歌の世界でインディーズであるということは、自分でカネを出して作ったCDやカセットテープを、ほとんどすべて手売りで捌かなくてはならないという事実を意味します。

キャンペーンで回るカラオケ喫茶やスナックや、健康ランドやお祭りのカラオケ・コンテストで、あるいは路上で(!)ステージを終えたあと、汗をぬぐう暇もなく両手いっぱいにCDやカセットテープを抱え、お客さんのあいだを笑顔で歩き回り、握手の手を差し出し、頭を下げつづける演歌歌手たちを、僕はどれくらい見てきたことでしょうか。


『演歌よ今夜も有難う』という本をまとめたのも、そんな厳しい現実を「歌の持つチカラ」だけを信じてサヴァイヴしている彼らの生きざまを、ひとりでも多くのひとたちに知ってもらいたかったからですし、出版社に特設サイトを作ってもらったのは、そんな彼らの歌が、ほかの音楽作品のように店で買えたり、ダウンロードすることが基本的に不可能だからです。自分のウェブサイトも、ブログすら持っていない年配の歌手がほとんどですし。

このサイトには、インタビューさせてもらった17人すべての歌手たちが賛同してくれ、こころよく音源や動画を提供してくれました。でも、そんな彼らの思いはJASRACには通じなかったようで、音源をアップしたサーバーであるyoutubeの画面を、特設サイト中に直接貼るのであれば、歌手がなんと言おうが、JASRACに規定の料金を払え、ということでした。

しかし、よく話を聞いてみると、youtubeの画面をサイトに貼るのではなく、リンク先を表示するだけなら、推奨はできないがオーケーということなので(そこにいったい、どんな違いがあるんでしょう!)、急遽新しいサイトを自分で作ってみました。インディーズ演歌に興味を持ってくれたみなさまは、ぜひこちらのサイトで彼らの、ときに拙い、ときに熱すぎる、でもひたすらまっすぐな歌声に耳を澄ませてください。そしてそれが少しでもこころにひっかかったら、本書でそのソウルフルな人生を知ってください。