2011年9月28日水曜日

船の科学館、一部を除いて実質閉館!

お台場にある「船の科学館」が、ちょうど今週金曜で、一部施設を除いて実質的に閉館してしまいます! 

今週金曜日(30日)の『東京右半分』で、すご〜く詳しくリポートしますが、その金曜日が「閉幕記念式典」ということで、それからでは間に合わないので、ここでもお知らせ。もうあと2日間で、37年間にわたって親しまれてきた、あの船のかたちの建物にも、青函連絡船にも入れなくなってしまいます。






南極観測船・宗谷のほうはそのまま公開されるようですが、本館のすばらしい船舶模型や、海軍の従軍画家による戦争画の数々、そして特に羊蹄丸の内部に再現された、青函連絡船時代の青森市街や駅の様子は、必見と言わずしてなんと言うべきか! 

修学旅行でも昔は人気スポットでしたが、「むかし行ったことあるし」なんて落ち着いてないで、オトナの眼でもういちど見てみてください。もう閉まっちゃうということで、いまなら写真撮ろうがビデオ撮ろうがやりほうだいみたいなので、仕事サボってゆりかもめに飛び乗るべし。

(更新は9月30日・金曜日)

船の科学館・公式サイト http://www.funenokagakukan.or.jp/
いまなら入場料200円!

VOBO妄想芸術劇場、ついに再開!

前にお知らせしながら、サイトのリニューアルが遅れていた『VOBO』、今週から新デザインで復活しました。もちろん、『妄想芸術劇場』も。

通算23回目となる再開第1弾を飾るのは「かずゆき」です。




ニャン2創刊期の投稿イラスト・ぺージに頻繁に登場しながら、その後はぱったり投稿が途切れてしまった『かずゆき』。ニャン2創刊以前の1980年代後期に白夜書房から創刊された『Crash』にも、ずいぶん作品が送られていたようだが、いまはいったいどうしているのだろう。どこかほかに発表の舞台を見つけたのだろうか。それとも、イラスト投稿を卒業してしまったのだろうか。


ご覧いただければわかるように、画力の巧みさや色づかいもさることながら、『かずゆき』の最大の魅力は画面構成の妙にある。それは、あるときは遠近法を強調した一幅のエロ・パノラマであり、あるときは漫画ふうの画面分割を取り入れた「絵で読むポルノグラフィ」である。

PRINTS21 当世とりかえばや物語


今回の「とりかえばや」のおふたりは、奇しくも同じジャック・スパロウ。それもほとんどスパロウだけのコスプレにこだわりつづけているという、ストイックなレイヤーさんであります。ちなみにジャック・スパロウを知らないひとはいないと思うけど、ディズニー映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』4部作の主人公。演じるのはもちろん、ジョニー・デップ。あるインタビューで彼は「当時の海賊は、現代のロックスターのようなものだ」と語っていたようですが、今回登場してくれたおふたりもまた、ロックスターのような存在感です。

紀伊國屋scripta:歌謡・演歌・ナツメロ ナレーション大全集


紀伊國屋書店が期間で配っている無料広報誌『scripta』。今回取り上げたのは『歌謡・演歌・ナツメロ ナレーション大全集』。判型は文庫版サイズ、しかし1030ページ、暑さ5センチ! 堂々たるヴォリュームの新刊であります。軽く自立しちゃう厚さだし。

(出版社サイトより)

気づいてくださいこの花に
夢という名の希望の水を
分けてくださいこの花に
恋の痛みに泣きながら
あなたの愛だけ待っている
私は哀しい水中花
 (『愛の水中花』松坂慶子)

「昭和の万葉集」とも呼びたくなる、情念の短詩型に浸る喜びを堪能してください! ナレーションに頻出する単語を集め、解説を付した単語集「巻末付録・ナレーション作りのための演歌ことば辞典」も、「夜の季語辞典」と呼ぶべき貴重なコレクションです。

scriptaは紀伊國屋書店の各店で無料配布してますが、店によってはすぐなくなっちゃうので、お早めにゲットよろしく!

根本敬連作小説集『画因画因画因』

出ましたねえ、根本敬先生の小説集! 『画因画因画因』で「がいんがいんがいん」と読むそうです。

平凡社のウェブ連載に加筆されたこの新刊、内容はというと——

お前の物語はどこにある? 特殊漫画家・根本敬が悩める若者に贈る初めての小説集!! 成功を夢みる韓国人歌手、三流寿司屋で働く若者、男色の世界で実業家となる兄弟らが複雑に絡み合い、マヌケでくだらない因果な日常を生きる。「ウェブ平凡」連載に書き下ろしを加えた連作物語集。
お前の中の俺を返せ! サクセスを夢見て玄界灘を渡った無名歌手、場末の回転寿司で働く全てがかったるい青春、ハッテンバで成り上がり実業家となる双子らが交錯し、マヌケでくだらない日常を生き抜く―。映画やマンガのような生き方に憧れ、人生の虚妄にまどう若者に贈る連作小説集。
(公式サイトより)

となってますが、

「アリラン・プレスリーの朧気(おぼろげ)」
「お寿司9696(クルクル)会館」
「元祖肉屋のサル」
「探偵占い物語」

と、タイトルを並べていくだけで、ファンなら目の前にあのめくるめく根本ワールドが、ぶわっと広がるはず。そしてあたかもあの混沌とした画の世界をそのまま文字化したような文章は、期待にたがわぬエクストリームなコンテンツ。静かな狂気に充ち満ちてます。

例によって表紙も渋〜いデザインなので、買ったらかならずカバーを取ってチェックしてみましょう。

2011年9月21日水曜日

被災地スナックめぐり:週刊朝日

3月11日から3ヶ月近く経った6月になっても、仙台塩釜港にほど近い多賀城市の飲み屋街は、がれきだらけだった。『さざん花』『ハニー』『酔族館』・・ぐちゃぐちゃになったドアや看板の先に、ひとつだけ灯りがついた飲食雑居ビルが見えた。


れきが積み上げられたエントランスを抜け、止まったままのエレベーターの脇の非常階段を2階まで上がってみると、一軒のスナックから楽しそうなカラオケの音が漏れている。そっとドアを開けてみると、若いママさんと、さらに若い女の子たちと、お客さんたちで店内はほぼ満員。いい感じに盛り上がってる! 少しずつ詰めてもらって空いた席に座って、とりあえずウーロンハイをぐびり。被災地を歩き回ってカチカチになっていたこころのしこりが、なんだか一気に溶けていくような気がした・・。


春から夏にかけて福島、宮城の被災地でスナックをめぐった記録が、今週号の巻頭グラビア6ページになっています。「夜の復興」にかけるママさんや常連さんたちのストーリーを、お読みください。そして飲みに、遊びに行ってください!


週刊誌なので、お早めにゲットを!

東京右半分:水元公園で小魚フィッシング

葛飾区って……柴又の寅さん? 亀有の両さん? キャラ以外にあまりイメージのわかない右半分の端っこの区だが、千葉、埼玉と隣りあう葛飾区は、荒川、江戸川、中川、綾瀬川など大小7つの川に接する「水郷」の地でもある。そして江戸川を渡ればもう埼玉県という金町駅から北に1キロちょっと、小合溜(こあいだめ)と呼ばれる溜池(遊水池)を囲むように広がっているのが東京都立水元公園。休みの日には東京を横断して車で遊びに行ってしまうこともあるくらい、僕にとってお気に入りの公園でもある。パリで言えば南東の郊外にあるヴァンセンヌの森という感じ……って言い過ぎか。


水元公園の素晴らしさは、なんといってもその広大さにある。面積約92ヘクタール。実は小合溜を挟んだ対岸は埼玉県のみさと公園(16ヘクタール)になっていて、橋で行き来できるので、それもあわせればゆうに100ヘクタール以上。これがどれくらいの広さかというと、東京ディズニーリゾートが、ランドとシーあわせてほぼ100ヘクタール。東京の公園で較べれば、新宿御苑、上野恩賜公園、代々木公園がいずれも50ヘクタールちょっと。その倍はあるわけで、東京23区でも堂々1位、最大規模を誇る公園なのだ(それでもロンドンのハイドパークや、ニューヨークのセントラルパークの3〜4分の1だけど)。しかも新宿御苑などとちがって、入園無料ですから。


入口で貸し自転車をゲットして、端から端まで公園を一周してみると、さまざまなやり方で公園を楽しんでいるひとたちがたくさんいる。ジョギングしてるひと、スケッチしてるひと、草原でフリスビーしてるひと、犬を散歩させてる(させられてる)ひと、バードウォッチングしてるひと、メタセコイアの森でいちゃいちゃしてるひと、ひたすら寝てるひと……。そしてやたらと目につくのが、釣りをしてるひとたちだ。

これ、東京23区内ですよ!

http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/
(23日金曜日は祝日のため、更新お休み。次回は30日になります。
めちゃ濃いお話になる予定なので、乞うご期待!)

変態村@ギャラリー・シュハリ


四ッ谷3丁目のギャラリー・シュハリにて、今月27日から10月9日まで開かれる写真展。片山恵悟さんは『実話マッドマックス』の編集長でもり、今年春の『東京砂漠』に続く展覧会でもあります。前回にも増してエグそうな作品がたくさん出そう(ギャラリーのサイトがぜんぜん充実してないので、いまいち内容不明ですが)。

変態好きの、よい子のみなさんはお見逃しなきよう!

激渋ルチャリブレ・アートブック登場!


中野タコシェのオンラインショップで見つけて、思わず注文してしまったのがこの本。パリのオルタナティブ系出版社ANKAMA EDITIONSが出版した、メキシコのルチャリブレ・アートワーク・コレクションです。著者(というかコレクター)はジミー・パンテラという御仁。タコシェのサイトによれば——

ベルギーのルチャ・リブレ(メキシカンプロレス)おたく、ジミー・パンテラさん(本業はデザイナー)が、これまで収集してきた資料やメキシコ取材で撮った写真などを,自らデザインして作り上げたアートブック。最近では、興行やイベントを仕切ったり、ルチャ・リブレに関するアートの展示まで行なう程の熱の入れようで、ルチャ・リブレは人生や戦いが凝縮されているとまで言い切るジミーさんが、ルチャ・リブレへの思いを詰め込んだ一冊。画像ではわかりにくいですが、ブルー・デーモンのマスクと一体化した青い表紙のタイトルまわりは金の箔押しで、装丁も含めて美しい本です。


祝祭的な色合いのマスク、メンコみたいなレスラーカード(印刷の版ずれが味わい深い!)、決め技の図解、試合のチケットやポスター、記録写真、雑誌や新聞の記事、ルチャ・リブレ史上最大のヒーロー・サント出演の映画ポスターやコミック&もうひとりのスター・ブルー・デーモンの映画や実写コミック、など貴重な図版が惜しみなく使われています。またフィギュアやブロマイド、現地での試合の模様、ポスターなどの印刷所やその独特のタイポグラフィ、などの現地取材資料も豊富。
日本で人気のミルマスカラスの姿もあり、ルチャ・リブレのスターたちが一堂に会してます。

ということで、これはルチャ・ファンのみならず、ファンクなグラフィック好きなら、押さえざるをえないアイテムでしょう。出版社のサイトでは、中味も見られるようになってます。





実は僕も2000年(もう11年前か!)に『Lucha MASCARADA―メキシカン・プロレスと仮面の肖像 』というデザイン・ブックを出したんですが、アメリカのショー・プロレスとも、日本の人生劇場型プロレスともちがう、メキシコ独特のルチャには、なんともいえない美的感覚があります。できれば両方併せて、お読みください!


 ちなみにこちらは2005年、展覧会で訪れたメキシコシティで、ひょんなことから撮影させてもらえることになったルチャリブレ界のスーパースター、エルサント(2代目)。いままで使用したことのない、未発表写真をオマケにどうぞ。おしゃれデザイナーズ・ホテルで撮影したんですが、もう従業員から道行く子供たちまで、大騒ぎ! 変わることのないメキシコのルチャ人気を実感しました。






2011年9月15日木曜日

東京右半分:指の魔法に酔う一夜

思い起こせばもう2年も前、2009年の9月に始まったこの連載、今週で93回目を迎えて、あと2回で無事完結。「東京の右半分」というだけのくくりでスタートしたのに、よくこれだけネタがあったなと、われながら驚くばかりですが、その中で浅草と並んでよく登場した場所が湯島。昼間のうちは単なる”上野のとなりの古い街”だけど、夜のとばりが下りるとともに歌舞伎町をしのぐアンダーグラウンド感にあふれ、客引きのオヤジや多国籍嬢も道にあふれ、ひじょうに魅力的かつデンジャラスな雰囲気。いくつになってもワイルドサイドを歩いていたい夜の冒険者にとって、いまのところ東京でいちばん楽しい街かもしれない。

そんな”なんでもあり”の湯島ではあるが、まさかこんな店が! と驚かざるをえないのが、去年10月にオープンしたばかりの『手話ラウンジ きみのて』。そう、手話(と筆談)で聴覚障害者も健聴者もいっしょになって、かわいい女の子と楽しく飲める店なのだ。ちょっと前に銀座のクラブの「筆談ホステス」が有名になったけれど、あちらはあくまで健聴者のお客さんのためのお店であり、お仕事。しかしこちら『きみのて』は、お客さんも女の子も聴覚障害者がメインという、湯島どころかおそらく日本で唯一のシステムで営業を続ける、希有な店である。





そしてついでに追加情報:タイのお騒がせ元首相タクシン、ひそかに東京に来てたんですね! で、立ち寄って大歓迎を受けたのが、なんと前に「東京右半分」で取材した三河島のタイ寺院「ワット・プラ・タンマガーイ」。もう、駅からタクシン派の赤シャツを着た支持者でいっぱい、ここは荒川区じゃなくてバンコクだったのかと錯覚するほど、ものすごい熱気です。わざわざ日本語字幕をつけてくれた動画があるので、『右半分」の記事ともどもご鑑賞を。

東京右半分:荒川区に響くタイの祈り

本郷館の最後

ツイッターでも少しだけ書きましたが、『TOKYO STYLE』でも取材した文京区本郷の木造3階建てアパート「本郷館」が、ついに壊されてしまいました。1905(明治38)年に建造された「高等下宿」。今年で築106年! 林芙美子から一説によれば蒋介石まで、数々の著名人が暮らしたことでも知られる、貴重な文化遺産ですが、熱心な保存運動にもかかわらず、この8月になって突然の解体工事開始。新聞などの報道を読まれた方もいらっしゃるでしょうが、すでに建物は跡形もありません。

関東大震災を生き延び、太平洋戦争の空襲を生き延び、3月11日の地震にもびくともしなかった本郷館ですが、重機にかかってはひとたまりもなく、あっというまに解体完了です。このあとは、いったいなにが建つんでしょう・・。


先週、現地を訪れてみたら、朝から工事現場を見守っているひとが何人もいました。そのひとりに話を聞いてみたら、「30年間も住んでいたので、居ても立ってもいられず、毎日見に来てるんです!」とのこと。その気持ち、わかりますねえ。

いっぽう、いくらなんでも百年を越す建築なので、「次の大地震が起こったら・・」と心配する近隣住民がいることも確か。近くの喫茶店で会った老婦人も、「あれは周囲のお宅は怖いですよ、残念だけど、解体されてよかった」と言ってました。ただ壊してしまうのではなくて、明治村でもどこでもいいから、移築できたらいちばんよかったのでしょうが。そういえば、同じく大好きなひとが多かった広尾の羽澤ガーデンも、間もなく解体予定。どう知性や洗練を装っても、こころは貧しい金持ちばっかりですね、ほんとに(『羽澤ガーデンを守る会』参照 http://sky.ap.teacup.com/hanezawa/)。

在りし日の本郷館、1991〜2年当時

いまから現地に足を運んでも、もはや工事現場しか見ることはできませんが、本郷館の保存に関してはふたつの充実したウェブサイトがあります。

本郷館を考える会 オフィシャルサイト http://hongoukan.blogspot.com/
本郷館プロジェクト http://www.hongo-kan.com/
(こちらのサイトの「資料・販売」ページにある『本郷館調査報告書 別刷図版』には、図面や室内写真がたくさん載っています。PDFをダウンロードできるので、興味ある方は要チェック)

また、高橋幹夫さんという研究者が『本郷館の半世紀』、『本郷、下宿屋ものがたり』『下宿屋本郷館の生活実態』という3冊の手作り本を出されていて、こちらはAMAZONから購入可能です。いずれも700円とお買い得!



いまから20年ほども前、何人かの住人と知りあって撮影に通った本郷館は、東大生からおばあさんまで多種多様な人たちが暮らす、すばらしくぼろっちくて、すばらしく元気な生活共同体でした。文庫版になった『TOKYO STYLE』でも、その様子はご覧いただけますが、なにせ判型が小さいので、少しだけここに写真を載せておきますね(倒産した京都書院から出た大判の写真集だと、じっくり鑑賞可能。古書店で安く買えます・・涙)。しかし本郷館だけの写真集、作りたいなあ・・。





見世物小屋絵看板展示@サディスティックサーカス

銀座でいちばん異端の画廊、ヴァニラ・ギャラリー。知ってるひとは知っている、その特異なラインナップは、このブログの読者諸氏にもファンが多いはず。

そのヴァニラ・ギャラリーが主催する『サディスティックサーカス』は、ボンデージに切腹ショー、ストリップにフリークスミュージカルまで、古き良き見世物スピリットを現在形に甦らせた、狂乱のページェントであります。



くるくるシルク......炎!跳!廻!驚異の男衆、本物のサーカス曲芸団! 
フープラバーズ......魅惑のボンデージ娘達のフラフープダンスショー!
月蝕歌劇団......暗黒の宝塚、歌と踊りの前衛的アングラ見世物小屋!
浅草駒太夫......愛されて半世紀超え、昭和からの伝説ストリッパー!
森繁哉+生命舞踏研究館......霊山出羽三山の最高位の山伏達が行脚!
  荒行で鍛えた声明をバックに舞う、死者への鎮魂と生命肯定の祈り!
早乙女宏美......地獄の切腹無惨「浄瑠璃・葛の葉」ハラキリショー!
ゴキブリコンビナート......歌劇仕立てフリークスミュージカル劇団!
龍崎飛鳥 with Solo.......京都より伝説の女王降臨す!禁断の緊縛!
花電車・乱......色町の伝統芸を引き継ぐ、高度な連続秘技の花弁技!
真珠子......異次元へ誘うアニメ紙芝居活弁の巫女トランス的多幸感!


(公式サイトより http://www.sadistic-circus.com/

どう、ラインナップ見てるだけで、ウズいてきませんか。で、今年のサディスティックサーカスは、来る10月2日に麻布十番で開催されますが、その機会に僕の手元にある見世物小屋の絵看板を4点、展示できることになりました。在りし日の見世物小屋の空気感をひしひしと伝える、貴重な作品群です。


大きなものでは幅8メートル近くになる大作も出品。昨年の広島市現代美術館での展示でご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、この機会にぜひ、また間近で鑑賞してください。このあと当分、倉庫から出せるチャンスはないと思われるので。僕ももちろん行きますので、会場でお会いしましょう!

広島での展示風景

妄想芸術劇場、来週再開!

サイトのリニューアルのためにお休みしていた『VOBO』、ついに19日の月曜日から再開するそうです。よかったですね〜〜! もちろん『妄想芸術劇場』も同時に再開。登場する投稿イラスト職人のニューフェイスは「かずゆき」です。

来週の『妄想芸術劇場』と当ブログでじっくりお見せしますが、久しぶりなので、ここでちょっとだけ作品をご紹介。画力、シロウト離れしてます! 来週の更新にご期待あれ。



2011年9月7日水曜日

夜露死苦現代詩2.0 RUMI

あっという間にもう5回目を迎えた、今月の『夜露死苦現代詩』に登場してくれるラッパーは「RUMI(ルミ)」。連載初の女性アーティスト。とはいえJ-HIPHOPにありがちな、可愛らしいプチ・ビッチ・イメージとは対極にある、骨太の詩人でありラッパーであり、シンガーです。反原発運動にも積極的に関わっているので、高円寺デモなどの報道で彼女のことを知ったひともいるかも。


HIPHOPという狭い枠にとらわれない、そのワイルドでアクティブな生きざまを、18ページのロング・ストーリーで堪能してください! 例によって特設サイトでは、『R.U.M.Iの夢は夜ひらく』『公共職業安定所!』『蛹・サナギ・』『あさがえり』の4曲が、フルで聴けます。ぜひぜひ、爆音で彼女のラップに浸りながら、読んでいただけますよう。


夜露死苦現代詩・特設サイト http://www.shinchosha.co.jp/shincho/4649/

『演歌よ今夜も有難う』特設サイト、リニューアル!


すでにツイッターなどでご存じの方もいらっしゃるでしょうが、『演歌よ今夜も有難う』発売にあわせて平凡社で設けていた特設サイトが、JASRACからのお達しにより、継続できないことになってしまいました。

本書の中で取り上げた17人のアーティストは、いずれもインディーズ演歌歌手として活動を続けてきたひとびとです。ロックやヒップホップなら、大きなCDショップに行けば「自主制作盤コーナー」があるし、インディーズの取次会社もあるので、自分たちでCDさえ焼いてしまえば、日本全国に流通させることが可能です。

しかし演歌の場合は、タワーレコードのような大手CDショップはもちろん、どんどん数を減らしている昔ながらの演歌専門レコード店でも、基本的に取り扱ってくれることはありません。つまり演歌の世界でインディーズであるということは、自分でカネを出して作ったCDやカセットテープを、ほとんどすべて手売りで捌かなくてはならないという事実を意味します。

キャンペーンで回るカラオケ喫茶やスナックや、健康ランドやお祭りのカラオケ・コンテストで、あるいは路上で(!)ステージを終えたあと、汗をぬぐう暇もなく両手いっぱいにCDやカセットテープを抱え、お客さんのあいだを笑顔で歩き回り、握手の手を差し出し、頭を下げつづける演歌歌手たちを、僕はどれくらい見てきたことでしょうか。


『演歌よ今夜も有難う』という本をまとめたのも、そんな厳しい現実を「歌の持つチカラ」だけを信じてサヴァイヴしている彼らの生きざまを、ひとりでも多くのひとたちに知ってもらいたかったからですし、出版社に特設サイトを作ってもらったのは、そんな彼らの歌が、ほかの音楽作品のように店で買えたり、ダウンロードすることが基本的に不可能だからです。自分のウェブサイトも、ブログすら持っていない年配の歌手がほとんどですし。

このサイトには、インタビューさせてもらった17人すべての歌手たちが賛同してくれ、こころよく音源や動画を提供してくれました。でも、そんな彼らの思いはJASRACには通じなかったようで、音源をアップしたサーバーであるyoutubeの画面を、特設サイト中に直接貼るのであれば、歌手がなんと言おうが、JASRACに規定の料金を払え、ということでした。

しかし、よく話を聞いてみると、youtubeの画面をサイトに貼るのではなく、リンク先を表示するだけなら、推奨はできないがオーケーということなので(そこにいったい、どんな違いがあるんでしょう!)、急遽新しいサイトを自分で作ってみました。インディーズ演歌に興味を持ってくれたみなさまは、ぜひこちらのサイトで彼らの、ときに拙い、ときに熱すぎる、でもひたすらまっすぐな歌声に耳を澄ませてください。そしてそれが少しでもこころにひっかかったら、本書でそのソウルフルな人生を知ってください。