2011年3月22日火曜日

東京右半分:プライベート・ライブラリーを耽読する 1

本は欲しい、もっと欲しい、でも置けない、でも図書館行ってもロクなのない、とお嘆きの趣味人諸氏にとって、最強の味方となるのが私設図書館。実は東京、それも右半分にはピンポイントのテイストに絞った、そして多くは営利度外視の私設図書館=プライベート・ライブラリーがいくつもある。もしも自分の趣味にぴったりの、そんなライブラリーが見つかったら、もう自分で本を取っておく必要も、本棚に急いで突っ張り棒かます必要も、あらたに買いまくる必要もなくなる。読みたくなったら、行けばいいだけ。それはほとんど「だれか同好の士が、自分のために開いてくれてる書斎」だから。

墨田区千歳・眺花亭

谷根千と並んで、いまや下町ブームのメッカとなった人形町から、ひときわそびえる明治座ビルと隅田川を挟んだ対岸の墨田区千歳。こちらは河岸にマンションや倉庫が建ち並び、ブームとは無縁の静かなエリアだ。

隅田川を見おろすマンションの5階に、2009年1月オープンしたのが『眺花亭』。名前はお茶室か懐石料理店を思わせる風雅な響きだが、ここは「落語等の大衆芸能、音楽、東京の町歩き、酒場、喫茶店についての資料」を集めた、いかにも下町らしいと言えば下町らしいテーマの私設図書館なのだ。




 築45年というマンションの一室ではあるが、コレクションは「本4000冊、雑誌1600冊、CD750枚、LP300枚」という、なかなかのもの。これくらい持ってるというひともいるでしょうが、これだけの本や雑誌を家に置いといたら、そうとう家族に嫌がられますよ。