2010年8月25日水曜日

タモリ倶楽部 8/28 来夢来人サミット!

今年で28年目なんですねー、タモリ倶楽部って。あの内容で恐るべき長寿番組ですが(もちろんファンです)、今週土曜日、番組では「「どの街でも安心して入りたい!スナック来夢来人サミット」なる特集を放映します。

良く見かけるが今まで横のつながりが無かった来夢来人(ライムライト)のママが集結する歴史的サミットを開催(番組ツイッターより)

って、実はたった4人なのですが、えり抜きの来夢来人ママさんが集まって、いろいろトークしたりする、ゆるくて楽しい特集です。なぎらけんいち、玉袋筋太郎というスナック通芸人とともに、僕も「来夢来人評論家」(笑)として出演してます。お時間あれば、ぜひご覧ください。会場となったスナック来夢来人も、予想外に広くてファンキーなお店でした。

放映:8月28日(土)テレビ朝日 0:20〜0:50

東京右半分:アメ横のラッパーズ・ディライト

上野駅から御徒町駅までの、歩いても数分の距離に400軒以上の店舗がひしめきあうアメ横。終戦直後の闇市の混沌とした雰囲気をいまだにひきずりながら、平日でも十数万人、年の瀬ともなれば50万人あまりの買い物客で超満員になる、東京屈指のショッピング・ゾーン。おしゃれ情報誌やファッション・メディアにはなぜか取り上げられない、アツアツの物欲グルーヴがこの街にはいまも脈打っている。



安カバンを積み上げた店の隣には茹でダコを叩き売りする店、地下に降りればほかではなかなか手に入らないエスニック食材の店、そして上階にはアダルティ・・というかオッサンオバサン・テイストの洋品店、貴金属アクセサリー店などが渾然一体となっていたアメ横センター。ビッグ・サイズのアメリカン・カジュアルウェアを揃えた3階の『FUKUYA』にはときどきお世話になっていたが(デブには頼もしい味方!)、久しぶりにエスカレーターを昇って3階に行ってみると・・そこはサウスブロンクス、というのは大げさだが、いきなりヒップホップ・テイストの店舗群になっていた。


ヒップホップ・ファッションには欠かせないキャップの専門店もあれば、CD屋もある。壁に貼ってあるポスターも、完全にヒップホップ・テイストだ。通りを挟んだガード下のアメ横プラザの中には、いささか怪しげなヒップホップ系トラックスーツ(ジャージ上下)を売るアフリカ系黒人の店が最近増えてきたけれど、アメ横センターの店舗にはちょっと雰囲気のちがう、「ヒップホップ一途です」的な真面目さが見え隠れしている。いったい、いつからこんなことになったのだろう。どんなひとたちが、お店をやっているんだろう。そしてヒップホップなのになぜ渋谷ではなく上野なのか。3階に店を開く『Cap Collector One』と『Castle Records』の2軒に、買い物がてらお話をうかがってみた。

http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/

カラオケファン:歌手が直接指導するカラオケ教室

ときどき楽しい特集があるので、つい見てしまう『月刊カラオケファン』。このブログを読んでるみなさまで、愛読者のかたがどれくらいいるのでしょうか・・・。

今月のカラオケファンは、巻頭特集が「プロの歌手に学ぼう! 歌手が直接指導するカラオケ教室」。名前を貸してるんじゃなくて、プロ歌手がちゃんとレッスンしてくれるカラオケ教室ガイドです。しかし表紙の五木ひろしさん、今年62歳とは思えない若々しさですねー。

特集のほうは、三船和子にさくらと一郎(『昭和枯れすすき』のデュエットね)、畑中葉子まで、なかなか多士済々なプロたちが、こんなに教室やってるんだと、読んでみてちょっとびっくり。だって、自分が先生になってるんですから。

演歌、歌謡曲がなかなか売れない現状をあらわしているといえばそれまでですが、生徒も含めてみなさんハッピーそうで、読んでいても楽しいです。写真にちらり写っているレッスン室の様子も、なかなか興味深いので、カラオケ・ファンならずとも一読をおすすめします。

京都府庁のマネキン・インスタレーション!

NHKがニュースで取り上げたこともあってか、いまネット上でけっこう話題になってるネタがこれ、「京都府庁が広報課にマネキンを置いて、職員に仕事への緊張感を高めてもらう取り組みを始めた」という抱腹絶倒ニュースです。とりあえずは、NHKのニュース映像を見てください。

解説を読んでいただければおわかりのとおり、

この取り組みは、常に誰かに見つめられているという緊張感によって仕事の効率をあげるとともに、利用者を具体的にイメージすることでサービスの向上をはかる「ペルソナ」という手法を取り入れて京都府が始めたもの

というもの。しかし「ペルソナ」なんて手法、知ってました? 京都府の広報サイトによれば(http://www.pref.kyoto.jp/news/press/2010/8/1281437529886.html)、この手法は「ペルソナ(具体的なユーザー像)を想定し、実際に造り上げ、活用することで、職員間で一貫したユーザー像を共有できる効果が期待できます」そうです・・・。

で、今年7月にまず3体、8月に2体増えて、いまや計5体の「ペルソナ」さんが、広報課のデスクで、職員にニラミ(?)を効かせているというわけ。広報サイトには、写真も載っています。



5体のペルソナ(つーか、マネキンでしょ)にはそれぞれ詳細なキャラが設定されていて、「子育て中、32歳主婦の人見知子」とか、大阪から来た66歳のクレイマー観光客「浪速野吉子」とか、素晴らしすぎるセンス。




ペルソナの経費は「職員が使わなくなったのを持ち寄って作ったのでゼロ」ということですが、しかしそれにしても! こんなマネキンと毎日、向かい合わせで仕事させられる職員の方々の苦労、察するにあまりあります。

年間観光客数5千万人という、世界に誇る日本の古都。さすが、京都の美意識は奥深いものがありますねえ・・・。

2010年8月18日水曜日

ドミューン『スナック芸術丸』19日木曜19時から!

『夜の果てのムードコーラス』と題して、いまや絶滅危惧種ともいわれる歌謡ムードコーラス・グループについて、徹底研究する一夜。東陽片岡さん、湯浅学さんという最強ゲストおふたりをお迎えして送ります。

もしかしたら東陽先生の美声も聴けるかも・・・できればスタジオの特等席でご覧ください!!!


e-hondana レアな美術書入荷しました!

前回の更新から少々間があいてしまって申し訳ありませんでした。e-hondana、今回は数こそ少なめなものの、古典から現代まで、美術関係のレア本がけっこう出品されてます。モンス・デジデリオにイタリアの病理ロウ標本写真集、マヤコフスキーのチェコ版詩画集に、一般には販売されなかったカンパリ社の広告作品集まで、どんな趣味してんだ!と自分で突っ込みたくなる、幅広すぎのバラエティ。もちろんオークションじゃないので、いずれも一冊限りの早い者勝ち。ライバルに持っていかれないよう、お早めのチェックを!




アサヒカメラ 今夜も来夢来人で:横須賀市久里浜

神奈川県横須賀市久里浜。ペリーが上陸した地として歴史に名を残し、戦前戦中は日本軍の要地でもあった久里浜の、港に近いインダストリアルな風景に、ポツンと火を灯すスナックがひとつふたつ。その中でも、もうすぐ開店25周年を迎える老舗が久里浜のスナック来夢来人だ。

ビロードのようなワインレッドの布地が壁全面を覆い、天井にはミラーボールまで下がるクラシカルなインテリア。これぞ昔ながらの「ザ・スナック」という雰囲気である。


マスターが仕切る昼間のカラオケ喫茶はさすがにかなり年配のお客さんが多いというが、夜、ママさんの時間になると、地元の歌自慢の常連さんたちで店はまたちがう盛り上がりを見せる。ママさんの美声につられてか、民謡の先生、アコーディオンの先生、カラオケ大会の常連出場者などツワモノたちが集まって、毎晩のように自慢のノドを競いあい。



「口調はおだやかだし、上品でひとの悪口は言わないし、タバコも吸わないし」というママさんのキャラクターが自然と醸し出す、和気あいあいとしたムードの中にも、どことなく歌道場的な雰囲気が漂う、ここはスナック修業の上級コースなのだ。

FRIDAYダイナマイト:スナック話をちょろり・・

書店やコンビニの棚に並んでいても、レジに持っていくには気合いの必要な(?)写真誌のひとつ、『FRIDAYダイナマイト』。その最新号(『真夏の特盛り号』だそう!)で、スナックの小特集をやってます。僕のインタビューも載っているのですが、それはほんのちょっとなのでどうでもよし。それよりも、僕のスナック道の先生でもある玉袋筋太郎さんが、現在も開催中のスナック・イベントや、日本各地で出会ったお気に入りスナックについて熱く語っているので、スナック好きのかたはぜひとも入手すべし。シール貼られてるかもしれないので、立ち読みも難しいしね。

まあ、スナック以外のページは全部エロ! しかも特別付録として小向美奈子『花と蛇3メイキングDVD』なんてのまでついて650円と、かなりのお得価格なので、恥ずかしかったら「領収書ください」とか言って、仕事のふりして購入してみてください。AMAZONとかでも買えますが・・・。

2010年8月11日水曜日

東京右半分:日本国浅草県バンコク村

浅草雷門から歩くこと約15分、もうすぐ先は吉原の泡風呂天国という絶妙の(?)、しかしとうてい飲食店には向いてそうにない住宅街の片隅に、ものすごく小さなタイ料理店がある。

「タイ居酒屋ソンポーン」というそのお店は、広さにして四畳半あるだろうか、カウンターに椅子が5つ、つまり定員5人、それ以上は店先の道路に折りたたみ椅子を勝手に出して路上飲食という、サイズからいえば屋台とどっこいどっこいのマイクロ・レストランだ。そしてここが、いま東京に住むタイ通のあいだで、もっとも注目される店のひとつである。


日本人とタイ人がきつきつのカウンター席で肩すりあわせ、スパイシーな料理を頬張ってはタイ・カラオケを絶唱し、ノドの渇きをビールで鎮め・・そんなミニ宴会が毎晩、2時過ぎまで続く。ビルのあいだを抜けるねっとりした風を背中に受けながら、知らないお客さんたちと夜中にワイワイやってると、なんだか浅草じゃなくてバンコクの裏路地の屋台で飲んだくれてる気分になってくる。


そしてソンポーンでだらだらご飯食べていると、ときどきやってくるのが『タイ野菜の移動販売』。タイ人のご主人とラオス人の奥さんというご夫婦が、茨城県でタイ野菜を栽培、ハイエースにぎっしり詰めて、夜になると売りに来るのだ。


タイ北部ウタイタニ出身のご主人サタポーン・スカーノンカナーパー(ニックネームはヒアタム)さんは、もともと車の運転手。奥様のソーサリーさんのほうはラオスの首都ビエンチャン出身。日本に来て看護師をしていたという。日本人の前夫とのあいだに28歳と22歳の息子がふたり、娘がひとりいるそうで、「もう孫もできちゃいました」とのこと。


レモングラス、空心菜、タイバジル、カナー(芥藍菜)、パクチーなど、常時10種類ほどのタイ野菜を栽培中。毎朝6時に起きて、茨城県坂東市小山の畑で農作業に汗を流し、夜になると「火曜日は茨城から近い埼玉の春日部のほう、水曜日は上野、錦糸町、浅草、木曜日は赤羽というぐあいに、週に5回くらいは売って回るんです」。そうやって夜更けまで移動販売して、家に帰り着くのは夜中の2時、3時。ときには朝になっちゃうこともあるそうで、おまけに奥さんはラーメン屋でアルバイトもしているというから、どれだけ働き者なんだろうか。


ドミューン『スナック芸術丸』は8月19日:夜の果てのムードコーラス



次回ドミューンは19日の木曜日(19〜21時)に決定。『夜の果てのムードコーラス』と題して、いまや絶滅危惧種ともいわれる歌謡ムードコーラス・グループについて、徹底研究します! 


しかし僕ひとりでは荷が重すぎるので、豪華ゲストをふたりもお呼びすることになりました。新刊『レッツゴー!! おスナック』を発表したばかりであり、知られざるムード歌謡研究の第一人者でもある、漫画家の東陽片岡先生、それに音楽評論家の湯浅学さんをお迎えして、1950年代に極東の島国で生まれた異端の音楽・ムードコーラスについて、ぞんぶんに語っていただく2時間。東陽先生はもちろんドミューン初登場。ぜったいお見逃しなく!

夏休み、旅のお供に『ワンダーJAPAN』!

廃墟好き、珍スポット好きに絶大な人気を誇る『ワンダーJAPAN』。発売されたばかりの最新号は、『日本の不思議な《異空間》500』。巨大建築物、廃墟、地下空間、戦争遺跡、珍建築、B級グルメ、大仏大観音・・・とりあえずワンダーな物件を、北海道から沖縄まで500ヶ所も網羅した完全ガイド。これはすごい! ページをぱらぱらしながら夏休みの計画を練ってると、かなり楽しくなります。

今回の「一冊丸ごと特集」は、ワンダーJAPANの創刊号から16号まで、5年間かけて誌面で紹介してきた約1000件のうちから、500ヶ所を選んで都道府県ごとにまとめたそうですが、これはもう、はっきり言って雑誌でやるべき内容じゃないです。永久保存版ガイドブックともいうべき資料集成なので、できれば旅行に持ち運べる耐久力を備えた単行本として出してほしかったくらい。なのでマニア諸氏は、いまのうちに2冊買いしておきましょう。しかしこの内容で1000円というのは・・・安すぎですよね。

NHKドキュメンタリー『ヤノマミ』、ついにDVD発売!

2009年4月に放映されて大反響を呼び、再放送、劇場公開版を経て、ついに今月DVDが発売された『ヤノマミ』。もうご存じの方も多いと思いますが、とにかく素晴らしいドキュメンタリーです。

アマゾンの最深部に1万年以上、独自の文化・風習を守り続けている部族がいる。欧米人に“最後の石器人”と呼ばれているヤノマミ族だ。現在、ヤノマミ族は2万人。40〜200人で一つの集団を作り、ブラジルとベネズエラにまたがる広大なジャングルに分散して暮らしている。
私たちはその一つ、ワトリキ(風の地)と呼ばれる集落に150日間同居し、彼らの言葉を覚え、彼らと同じモノを食べながら撮影を続けた。森の中、女だけの出産、胎児の胎盤を森に吊るす儀礼、2ヶ月以上続く祝祭、森の精霊が憑依し集団トランス状態で行われるシャーマニズム、集団でのサル狩り、深夜突然始まる男女の踊り、大らかな性、白蟻に食させることで天上に送る埋葬…。そこには、私たちの内なる記憶が呼び覚まされるような世界があった。
笑みを絶やさず、全てが共有で、好きなときに眠り、腹が減ったら狩りに行く。そんな原初の暮らしの中で、人間を深く見つめてゆく。


※ブラジル政府、および部族の長老7名との10年近い交渉の末、TV局としては初めて長期の同居が許されたものです。
   (NHKスペシャル・ウェブサイトより)

すでにたくさんのひとがブログなどで書いてあるとおり、衝撃的な内容はこの説明のとおりなのですが、僕は画面の美しさにも惹かれました。厳しい状況のなか、限られた機材と人員で、よくこれだけの成果を出せたものだと思います。

DVDには特典映像として、撮影中の苦労やヤノマミとの距離感のとりかたの難しさなど、ドキュメンタリー作家が直面する問題について監督が語ったインタビューが収録されているので、いちどテレビで観たかたも、購入する価値大でしょう。

しかしこういうのを観ると、やっぱりNHKってすごいですね。いろいろ問題はあるのでしょうが、ほかの民放局とくらべてみると・・・いつのまに、ここまで差が開いてしまったのでしょうか。ただ唖然とします。

24時間とか、26時間とか、あまりにくだらない番組に、自分たちだけでから騒ぎしている姿は、すでに観るものにとっては痛々しさしか残らないことを、彼らはいまも自覚していないのでしょうか。それとも、自覚していながら、分厚い給料袋がその口をふさいでいるだけなのでしょうか。


2010年8月4日水曜日

猛暑御見舞


こんな暑い中、お仕事なんてできるでしょうか。みなさん、お休みしましょう! 
当ブログも、今週は早めの夏休みをいただきます。来週からまた内容満載でお送りしますので、ご期待ください。
それではみなさまも、よい夏休みを!!!

都築響一

しかし腹立つキリンビール!

もうネットや一部週刊誌でも話題になってますが、館ヒロシがドラムを叩いて「おいらはドラマー♪」と歌う、キリンビールの新CM。なんでも収録前に1週間スタジオにこもってトレーニングしたそうで、その成果はさすがにかっこいいのですが、しかし! そのあと裕次郎が「ヤクザなドラマー」と歌ってるところを、館さんは「ヤンチャなドラマー」と歌詞を替えちゃってるではないですか。

いくらご時世だからって、それはないでしょう。歌の「ヤクザ」が暴力団を指すわけじゃないってことぐらい、キリンビールのオッサンたちにはわからないんでしょうか。裕ちゃんの歌を口ずさみながら、ビールのジョッキを空けてきた昭和の日本人たちに、キリンビールは育てられてきた企業なのに。サケ売って、ひとを酔っぱらわせて儲けてる会社に、いまさら健全ぶられてもねえ。

『嵐を呼ぶ男』は映画の監督も、実は主題歌の作詞も井上梅次さんでした。日活全盛期にアクション路線を担った職人監督であり、香港に渡って現地の映画技術向上に尽くし、現代香港映画育ての親のひとりでもあった、僕の尊敬する映画監督です。惜しくも今年2月に86歳で亡くなりましたが、こんなふうにゼニ儲けのために勝手に改変されて、草葉の陰で苦笑していることでありましょう。だって館ヒロシって、石原プロ所属ですよ! ま、本人も内心おだやかじゃなかったのかもしれませんが・・・しかしクールスでデビューした硬派の男にしては、あまりにもクールじゃない、お粗末な舞台でありました。せめてDVDで、本家の貫禄を堪能しておきましょう。


大竹伸朗のパタパタ蛇腹ブック『直島銭湯 アイ・ラブ・湯』

ただいま開催中の瀬戸内ビエンナーレ(平日でも大混雑だそう!)にあわせて制作された、大竹伸朗の『直島銭湯 アイ・ラブ・湯』が、そろそろ店頭に並びます。


もうアイ・ラブ・湯を訪れた方はご存じでしょうが、いままで銭湯関連の資料としては、絵葉書セットがあるだけでした。今回の新刊は、完成直後の銭湯の内外観、ディテール写真をはじめ、アーティスト本人によるスケッチ、コラージュなどをたっぷり収録。昔の観光地で売られていたような、パタパタ折りたためる蛇腹式の楽しいビジュアル・ブックに仕立てられています。
1575円とお値段も手頃なので、これから夏休みに直島に行くひとも、休みが取れない悲しいひとも、ぜひご一読を!


なお来る8月7日からは東麻布のタケニナガワ・ギャラリーで、新作スクラップ・ブック展も開催。こちらもあわせてどうぞ。年々パワーの度合いを増すいっぽうのスクラップ・ブックの、驚異的な存在感を体感できる展覧会です。


梅佳代、2年ぶりの写真集『ウメップ』

そして今週はもう一冊、注目の新刊。ご存じ梅佳代の、2年ぶり(そんなだったのか)の写真集『ウメップ』です。

2007年に木村伊兵衛賞を受賞したときは、「こんな素人くさい写真が」と、選考委員だった僕にも批判が聞こえてきたりしましたが、その後の活躍はみなさんご存じのとおり。たった2、3年での、あまりの人気急上昇ぶりに、いまだに疑問符付きでしか彼女を見られないひともいるかと思います。

でも、そういうひとも、今度の写真集を見てくれたら、一瞬を切り取る彼女の眼がいかにシャープか、思い知らされるでしょう。




アンリ・カルチエ・ブレッソンが「決定的瞬間」を唱えたのは、いまからもう60年も前でした。その写真集、英語だと「The Decisive Moment」ですが、フランス語の原題は「Image à la sauvette」。これは「逃げ去る映像」といった意味です。思えば梅佳代こそ、現代の「逃げ去る映像=決定的瞬間」を捉える最高のキャッチャーなのかもしれません。

作品集の刊行にあわせて、8月7日からは表参道ヒルズで展覧会も催されるそうです。

梅佳代写真展「ウメップ」 シャッターチャンス祭り in うめかよひるず 
Umep : Shutter Chance Festival in UMEKAYO HILLS
http://www.omotesandohills.com/event/index.php?PHPSESSID=3a42bc037e8ec4cd33ae9784b4772499#e195

約1700点の作品を展示する、東京では初めての大規模個展となる模様で、いろいろ関連グッズも販売されるとか。これは行かないと・・・。

しかし梅佳代が2002年に大阪の写真学校から上京して、アルバイトしながら初めて開いた展覧会を思い出したのですが、恵比寿のビルの地下にあった貸し会場を訪れてみると、壁にぐちゃぐちゃプリントが貼ってあり、奥の一角にはスライドショーのエリアがありました。スライドショーといっても、すんごく安い、カルーセルすらないスライド映写機の横に梅佳代本人が座っていて、手に持ったリモコンを操作してカッチャン、カッチャン、スライドを送っているではありませんか。

びっくりして「なにしてんの?」と聞いてみたら、映写機が安っぽくてオートにできないので、一日中そこに座って待ち、お客さんが来るたびに「10秒おきぐらいにスライド送って見せてるんです」と、平然と説明してくれました。そのときでしょうか、「こいつは将来、大物になる!」と実感したのは(笑)。その「将来」がたった2、3年とは、さすがに僕にも予想できませんでしたが。

そのころから、そしていまでも彼女は愛用の安っぽい一眼レフを、どこに行くにも、どんなときもぜったいからだから離しませんが、それは初めてのエレキギターとベッドの中でまで添い寝していたジミ・ヘンドリックスを思い起こさせます。

ところで先週まで開いていた広島の展覧会で、梅佳代が大阪の写真学校時代に住んでいた学生寮の写真を展示していたの、気づかれましたか?


展覧会無事に閉幕。そして暴走単車、東京で展示決定!

7月19日、広島市現代美術館の展覧会『HEAVEN』が無事に閉幕しました。わざわざ足を運んでいただいたみなさま、ほんとうにありがとうございました!

ご覧になったかたはおわかりでしょうが、暴走族あり18禁コーナーありという微妙すぎる内容だったため、クレーマーさんたちも勢いづいたようで、会期中に市長はじめ教育委員会から広島県警まで、各方面から視察の方々がいらっしゃいましたが、美術館サイドの強力なブロック態勢により、なんとか最後まで作品撤去の憂き目を見ることもなく、フィニッシュラインに到達することができました。ご支援、感謝します!

そして広島まで来れなかった忙しい東京人のみなさま! 展覧会場でひときわ異彩を放っていた、今回のためにコミッションで作られた暴走族の改造バイク『魅寿帝』号が、なんと東京にやってくることになりました!!!



アーティスト天明屋尚さんが、同タイトルの書籍発売にあわせて初めてキュレイターをつとめる、ユニークなグループ展『BASARA』がそれ。会場は南青山のスパイラルガーデン。会期は8月4日から7日までの、わずか4日間です。



BASARA展

期間 :08.04〜07
会場 :スパイラルガーデン/1F
 
現代美術家・天明屋尚がキュレーターとなり、あまり注目されてこなかった日本文化の側面にスポットを当て、従来の日本美術・アートシーンのイメージの刷新を試みるアートイベントを開催します。

侘び・寂び・禅の対極にあり、オタク文化とも相容れない華美(過美)で反骨精神溢れる覇格(破格)の美の系譜「BASARA」をテーマに、大胆かつダイナミックな和の世界が展開されます。どうぞご期待ください。

時間:11:00〜20:00  会期中無休
主催・企画・キュレーション:天明屋尚
出展予定作家:
池田学/伊島薫/井上雄彦/井上裕起/上田順平/歌川国芳/河鍋暁斎/金理有/三代目彫よし/SHIGE/月岡芳年/辻野裕明/天明屋尚/豊原国周/中島靖貴/成田久/野口哲哉/HITOTZUKI(KAMI+SASU)/松山淳/丸若屋+上出長右衛門窯/村山留里子/山口晃/横尾忠則

その他出展予定作品:
印籠/織部茶碗/鍔/変わり兜/簪/縄文土器/煙草入れ/デコ電/族車/デコトラ他


たった4日間の、しかし長く語り継がれることになりそうな展覧会。万難を排して駆けつけるべし!