2010年12月8日水曜日

東京右半分:東西線で行けるインド

都心から東西線に乗って、西船橋方面に向かう。南砂町で地上に出た車両が、中川と荒川放水路を越すと、次の駅が西葛西だ。

江戸川区西葛西は「リトル・インディア」と呼ばれるほど、インド人居住人口の多い町である。その数およそ2300人。日本に住むインド人の、およそ十分の一が西葛西に住んでいる。ただ、大久保のコリアンタウンや、横浜中華街とちがって、西葛西の駅を降りてもインドらしさはどこにもないし、カレーの匂いが漂ってくるわけでもない。目につくのはどこにでもあるチェーン居酒屋や量販店や銀行や・・ようするに、どこにでもある郊外風景でしかない。

その西葛西に、きょうは地元のインド人が集結するというので、参加させてもらうことにした。南口を出てすぐの公園で開かれる『ディワリフェスタ』である。



季節はずれの台風接近のおかげで日にちと場所を変更して、今年は11月21日に開催されたディワリフェスタ。もともとインド各地で祝われてきた重要な春と秋の収穫祭、ホーリー(Holi)とディワリ(Diwali)を日本でも祝おうという趣旨で始まったこのイベント、今年で11回目になるという。当初は地元のコミュニティセンターを会場に、ほぼインド人だけでが集まっていたのが、会場を屋外に移してオープンなかたちにしたのが3年前。つい最近のことなのだが、会場にはインド好き、カレー好き、ただお腹すいたひとなど、たくさんの日本人が詰めかけていて、もしかしたらインド人より多いんじゃないかというくらい。それほど短期間で、このフェスタは西葛西の”お祭り”として地元に認知されるようになったということだろう。

今年の会場になった『子供の広場』(総合レクリエーション公園)には、中央のステージを囲むように、都内各地のインド料理店や衣料、アクセサリーを売る屋台が立ち並び、お祭り気分を盛り上げている。屋台の中にはインド銀行や保険会社、インド占い、ヨガ、インターナショナル・スクール、さらにはボリウッド・カラオケ・コーナーまであって、地元インド人コミュニティのサイズと安定性を実感できる。

そうした屋台のあいだを忙しげに歩き回り、インド人にも日本人にもニコニコ話しかけている立派な白髪・白髭のインド紳士がいた。ジャグモハン・スワミダス・チャンドラニさん、1952年にインドのコルカタ(カルカッタ)で生まれ、1978年に来日。今年が在日32年というベテランであり、江戸川インド人会の会長であり、ようするに西葛西インド・コミュニティの最長老である。きょうはそのチャンドラニさんに、西葛西がリトル・インディアになるまでのお話をうかがった。ちなみにチャンドラニさんは流暢という域を通りこした完璧な日本語を操る、語学の達人でもある。




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