2010年12月29日水曜日

A Happy New Year!


今年もブログのご愛読、そして書籍購入、ほんとうにありがとうございました。
手持ちの古書を販売しようと立ち上げた e-hondana にも、思いがけずたくさんのかたが
アクセスしてくれました。こころから感謝いたします。

出版界はあいかわらず暗い話題ばっかりですが、文句言ってるヒマがあったら、
一文字でもたくさん書いて、一枚でもたくさん写真撮ってるほうがいいですよね。
2011年は新たな雑誌連載、ウェブ連載がいくつか始まりますし、
電子書籍もお届けできそうです。ツイッターも、もっと書きます! 

とにかく全力疾走でがんばりますので、応援よろしくお願いいたします!!!

2010年12月29日 都築響一


2010年12月23日木曜日

湯島・ミュージックバー道:26日コラアゲンはいごうまん降臨! 年明け1月10は自分のトーク


いま、もしかしたら東京最強の風俗街である湯島のただなかで、渋い音楽と酒とご飯で僕らをもてなしてくれる貴重なミュージックバー「道」。もうご存じの方も多いと思いますが、来る26日の日曜日、あのコラアゲンはいごうまんが、今年2月に引き続いて2回目のライブをぶちかまします!

このブログを読んでくれてるかたにはおなじみでしょうが、ルポルタージュ漫談という、だれも踏み入れなかった領域で、ひとりぼっちの勝負を続ける孤高のスタンダップ・コメディアン。いまだにアルバイトで生計を立てながら、日本全国を何周もしてライブに命をかけているわけですが、ひとネタが30分〜1時間もかかるため、テレビではまったくその真価がわかりません。ぜひ、そのクレイジーでエモーショナルなお笑い世界を、ライブの場で体験してください。

人数が限られているので、すぐに予約していただかないと満員になってしまいます。ちなみにその前日、25日には21時10分から『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)に出演! ということなので、タイミングいいですねー。でも、テレビで観るより百倍おもしろいですから!

予約はこちらまで http://miti4.exblog.jp/

コラアゲンはいごうまんの公式サイト 

そして年明けの1月10日には、『roadside spirits』と題して連続トークさせてもらってる、僕自身の第2回トーク・セッションをお送りします。前回は「田舎のヒップホップ」がテーマでしたが、今回は「インディーズ演歌」! 業の深さではだれにも負けない、ロードサイドの演歌師たちを取り上げます。こちらも予約お早めに!

東京右半分:荒川区に響くタイの祈り 前編

バンコク郊外、かつてタイへの玄関口だったドンムアン国際空港近くに320万平米に及ぶ広大な敷地と、宇宙船のようにSFめいたデザインの巨大な本山を持つタンマガーイは、創立が1970年。まだ40年という新興勢力でありながら、いまもっとも急成長している仏教団体である。重要な儀式のおりには本部に10万人以上の信者が集結し(付属の調理場ではいちどに1トンの米を炊けるという)、タイ国内のみならず世界23ヶ国に55以上の別院を開くまでになっている。
日本でも2000年に東京別院が開設されたのを皮切りに、大阪、長野、栃木、茨城、神奈川、埼玉、山梨、名古屋と9ヶ所の別院がすでに活動していて、その信者のほとんどがタイ人というから、日本各地のタイ・コミュニティの広がりと結びつきにちょっと驚く。


しかもそれらの別院は本来的に在日タイ人のために、タイ人僧侶によって運営される寺院であって、日本人に対する勧誘活動はまったくといっていいほど行っていないにもかかわらず、寺院は日本人にも開放され、すべての儀式にだれでも参加できるし、日本語による瞑想プログラムなども完備されている。もしかしたら、日本の一般的な寺院より、よほど自由で、外に向かって開かれたシステムなのだ。
(次週後編に続く!)




ROADSIDE USA ツイッターから

ただいま @ROADSIDE_USA で、ほぼ毎日発信中のアメリカ取材こぼれ話。このところ、ロックのトリビア・スポット巡りを続けていますが、今回は写真が多いので、ブログのほうでご紹介。よかったら、ツイッターのほうも覗いてみてください。


ニューハンプシャー州フリモント。人口3000人かそこらの小さな町ですが、ここはフランク・ザッパをして「ビートルズよりすごい!」と言わしめたザ・シャグズの生まれ故郷であります。

1968年、父のオースティン・ウィギンの勧めに従ってドロシー(ヴォーカル、リードギター)、ベティ(ヴォーカル、リズムギター)、ヘレン(ドラムス)、そしてのちにレイチェル(ベース)も加わったウィギン4姉妹によって結成された、「ロック界のアウトサイダー・アート」とでも表現したい、最重要バンド。



伝説によれば、父オースティンのお母さんが、かつて「あなたの息子が授かる娘たちは、音楽で成功する」と手相見に予言されたのを真に受け、娘たちを学校から退学させて(!)バンドを結成。翌年の1969年に発表され、80年代に再発掘されるまでまったく話題にならなかったデビューLP『フィロソフィ・オヴ・ザ・ワールド』に、どれだけのひとが決定的な影響を受けたことでしょう。僕も一時は毎日聴きまくってました。

フリモントの町にいまも残るタウンホール、日本で言えば町役場みたいなものですが、そこの集会室で68年から、シャグズは週末ごとに演奏していました。1975年、心臓発作で父が死んでしまうと、バンドは解散。長らく忘れられた存在だったのちに、再評価されるわけですが、タウンホールにはシャグズの「シ」の字も記述がありません。受付のおばさんに聞いても「だれそれ?」という状態でしたが、それもまたシャグズらしいというか。ファンならいちどは訪れておきたい聖地です。



ちなみに正面玄関の看板に掲げられている「home of fremont grange」のグランジは、ロック用語のグランジじゃなくて、農場のことなのでお間違いなく。

紀伊国屋scripta:ブラジルの人工着色肖像写真

紀伊國屋書店が季刊で配っている、無料広報誌『scripta』。今回は『BORING POSTCARDS』など、本業の写真だけでなくキュレーションのすごさでも知られるマーティン・パーが探し出した、ブラジルの人工着色肖像写真集を紹介しています。

パーがブラジル在住のドイツ人美術史家タイタス・ライデルと組んで発表した新作写真集、『RETRATOS PINTADOS』がそれ(Nazraeli Press)。「描かれた写真」とでも訳したらいいのか、この大判の作品集は、ブラジルで19世紀末から1990年代まで広く行われてきた「人工着色による肖像写真」の、おそらく世界で初めてのコレクションです。





詳しい内容はscriptaを読んでいただきたいですが、人工着色なのにモノクロ・ページという悲しい状態なので、ここで写真を少しだけお見せします。日本の精緻な人工着色とはまた風合いの違う、おおらかな彩色がなんともいえない味を出しています。造本デザインもすばらしいです。展覧会が開かれたニューヨークのギャラリーのウェブサイトでも、作品がいくつか見られるようになっています。『scripta』は、紀伊國屋書店各店の店頭で配布中!

YOSSI MILO GALLERY

北の国から届いた小さな画集

札幌に行くたびに寄らせてもらう居酒屋さんがあります。ススキノにある『大漁居酒屋てっちゃん』がそれ(北海道札幌市中央区南三条西4 カミヤビル7F011-271-2694)。ここは、僕が知るかぎり日本でいちばんすごい刺身盛りを食べさせてくれる店であるとともに、店内が丸ごとアート・インスタレーションと化した、超絶のコラージュ空間であることでも広く知られています。まだ行ったことのないひとのために店内写真をお見せすると、このとおり!



店主「てっちゃん」こと阿部鉄男さんは、そんな庖丁人でありながら、手が空くと調理場から出てきてマジックを披露してくれたり、なかなかの趣味人でもあるのですが、ここ数年は油絵に凝っていて、毎日出勤前はかならずアトリエにこもって制作、調理場でも手が空くと、まな板の上にスケッチブックを開いて色鉛筆のデッサンを練習しているそう。

そんなてっちゃんの絵を、そっと見守っていた奥さんが先月、数部だけの画集にしてプレゼントしたということで、僕も一部いただくことができました。これがいいんですねー。


美大卒業生のようなテクニックも、プロのような仕上げの巧さも、てっちゃんの絵にはもちろんありません。でも、描くことの純粋なよろこびが、どのページにもあふれています。家族、犬、そして身近な風景。対象への愛情と、筆をふるう楽しさが、1枚1枚の画面から飛び出してきそうです。






クロウトの作品ではなく、シロウトの趣味の絵のほうに、かえって元気をもらえるって、いったいどういうことでしょう。プロになるには、「とにかく絵を描きたい!」というエモーションを押し殺したり、コンセプトでコーティングしないとダメなのでしょうか。プロの美術批評で「絵ごころ」という言葉は禁句かもしれませんが、アートで「絵ごころ」以上に大切なものって、なにがあるんでしょう。

居酒屋のオヤジさんが仕事の合間に描いた、つたない小さな作品集は、僕にいろんなことを考えさせてくれました。


愛犬を抱くてっちゃん

2010年12月15日水曜日

DOMMUNE スナック芸術丸、次回は22日水曜!



今年最後のドミューン、新刊の『ROADSIDE USA』について、夜7時から9時までたっぷり2時間、お話しします。しかし『スナック芸術丸』は最多登場プログラムだったそうで、御愛聴ありがとうございました! そして来年も夜露死苦。

東京右半分:新世代レビューは浅草の眠りを覚ますのか

浅草はレビューの発祥地、とよく言われる。

言われるけれど、昭和初期、エノケンやシミキン(清水金一)のいたころ、浅草レビューの最盛期を体験したひとで、いまもご存命の方って、どれくらいいるんだろう。なんとなく知ってるようで、実はだれもよくわかってない謎の軽演劇。それが日本の「レビュー」というものだ。



そういうレビューを、松竹歌劇団やカジノ・フォーリーの全盛期から70年も80年もたった21世紀の現在、なんと浅草で復活させてしまおうという、無謀とも言えるプロジェクトが今週スタートした。深夜の浅草遊びの強い味方である24時間営業の健康ランド『まつり湯』が入っていることでおなじみ、ROXビルの4階にある巨大カラオケ居酒屋『浅草まねきねこ館』で12月7日に幕を開けた『昭和歌謡ショー エノケン、笠置のヒットソングレヴュー』である。




サブタイトルのとおり、この企画はエノケンと笠置シヅ子が戦前・戦後期に放った大ヒット曲をベースに、歌に踊りにコントを交えて、往年のレビューの現代版を目指したもの。演じるのは男女9人の若き歌い手/パフォーマーで、その全員が実はROXと浅草寺を挟んで反対側に去年オープン、この連載でも紹介した『アミューズ・ミュージアム』の、「織り姫」と呼ばれる織物実演チームや、バーで働くスタッフたちなのだ。『昭和歌謡ショー』はこれから来年3月31日までのロングラン。そのあいだ「虎姫」たちはレビューとミュージアムを行ったり来たりの兼業となる。大変そう!



iPad専用で MUSIC LIFE 復刊!

流行歌雑誌としての創刊が1937年、『ミュージック・ライフ』と改題して戦後に復刊したのが1951年。残念ながら1998年に休刊するまで、『ミュージック・ライフ』が日本の音楽ファンに与えた影響は、計り知れないものがありました。僕も中学、高校時代は、それこそ表紙から奥付ページまで、毎号舐めるように熟読を重ねたものです。

その『ミュージック・ライフ』が、なんとiPad専用の無料アプリ『MUSIC LIFE Plus』として復刊! いちおうIPad/iPhone用と銘打たれていますが、iPhoneではあまりに画面が小さくて読みづらいので、ほぼiPad専用でありましょう。なので入手方法もiTune Storeからダウンロードということになります。

http://itunes.apple.com/app/id406608067?mt=8

iPadを横位置にすると画像がたくさんでてきて、縦位置にするとテキストが読めるという凝った仕様は、慣れるまでわかりにくいと思いますが、それだけの情報量が詰まってるわけでもあり、YouTubeにもデモがすでにアップされてます。


僕もひとつ連載を持たせてもらっていて、『ROADSIDE MUSIC』というタイトルで、旅回りを続けてすでに22年という演歌歌手・秋山涼子さんについて書いています。

ほかにも、いしいしんじさんのSP談義とか、いろいろおもしろい連載があるのですが、特に最盛期の編集長だった星加ルミ子さんの長編インタビューが圧巻。ビートルズとの出会いと独占取材の顛末について、じっくり語ってくれていて、必読でしょう。当時のML誌に付録としてついていた「ジョン、ポール、ジョージの読者宛メッセージ・ソノシート」も聴けるようになってるし、伝説の「ジョン・レノンのシェー」写真も載ってます! これだけで買い、というかタダなので、まだ持ってないひとはiPad買いに走るしかないですねえ。

もうひとつ、見落とされがちですが、ダウンロードのサイトでは往年の『ミュージック・ライフ』をスキャンしたデジタル復刊本が販売されていて、現在は1966年1月号と2月号が、それぞれ450円で販売中。近いうちに1966年度が全冊、それからも続々復刊計画があるらしいですが、とりあえず1月号を買ってみたら! 「ビートルズ・カレンダー」とか、「世界のスターから届いた年賀状」とか、涙のページが続々。楽器屋、レコード針、ジャズ歌手養成学校なんてのの広告まで入っていて、懐かしすぎ! これは全冊揃えないと。

ファッション誌で「コンビニコミック」論



ひと昔前に較べて、純粋なファッション誌って減りましたよね。特に男性ファッション誌はぐっと少なくなった感がありますが、そのなかで王道(?)のメンズファッション路線をキープしている『SENSE』。毎回、よくもこれだけ・・という質量の洋服がぎっちり紹介されてますが、今回『こだわりのオトナLIFE』と題された特集の中の『今こそ読むべき! B級漫画BEST5』というコーナーで、「コンビニコミック」についての原稿を書きました。コンビニの本棚に並んでる、あの小さくて分厚いやつですね。

ランチタイムの混雑がひと息ついた昼下がり、お気に入りの漫画を読みながら、ゆっくり味わうボリューム満点の昼飯。至福の時間である。
 こういう「メシのおとも」にぴったりなのが、「コンビニコミック」と呼ばれる単行本漫画だ。いったい何年、ひとつのラウンド回ってるんだ!ゴルファーや、いつになったらドンと秋野さんはくっつくの?みたいな、まったく進展のない、しかも細切れの週刊漫画連載では味わうべくもない一冊読み切り完結の満足感。コンビニコミックは、ニッポンのオトナたちにとって、雑誌にかわる漫画鑑賞のデファクト・スタンダードになりつつあるのかもしれない・・・

『ミナミの帝王』が教える金融工学、『白竜』が描き出す日本社会のダークサイド、『仁義』に流れるサバーバン・ロマンティシズム、『鬼平』に教わる人情の機微・・・。ご飯や車内の時間潰しのために作られる、読み捨て御免の短命印刷物。それでいて、いちど手に取ったら中毒必至。ああ、早く『ミナミ』の新刊読みたい! そして同じコーナーに掲載されている吉田豪さんの『トラウマのように忘れないヘヴィな作品BEST5』の選書も最高です!!!

そしてさらにお知らせ。この『SENSE』で来年1月から、超強力なオトナのストリート・ファッション連載やることになりました! もちろん、僕がやるページなので大幅に浮くこと確実! 年明けのブログで詳細発表しますので、ご期待ください。

ワンダーJAPANでブダペスト珍名所を!

表紙からして、すでに閉館した淡路島の大仏廃墟『世界平和大観音』という、今回も気合いの入った『ワンダーJAPAN』。連載『珍世界紀行』ではハンガリー・ブダペストに隠れる、ふたつのダークなロウ人形館を紹介しています。『マフィア・ミュージアム』と『ホスピタル・イン・ザ・ロック・ミュージアム』。どちらも観光名所とはほど遠い、しかし情熱あふれたB級スポット。世界遺産に登録された美しい街歩きのついでに、ぜひどうぞ。



Quick Japan でスナック対談

久しぶりに見たら、ものすごい文字量にびっくり! のクイック・ジャパン。最新号で、玉袋筋太郎さんのDVD『ナイトスナッカーズ』発売に合わせて、スナック賛歌の対談やってます。たった3ページではありますが、玉さんが経験した「スナックちょっといい話」もいろいろ入っているので、スナック好きのみなさまはぜひご一読を。



2010年12月8日水曜日

東京右半分:東西線で行けるインド

都心から東西線に乗って、西船橋方面に向かう。南砂町で地上に出た車両が、中川と荒川放水路を越すと、次の駅が西葛西だ。

江戸川区西葛西は「リトル・インディア」と呼ばれるほど、インド人居住人口の多い町である。その数およそ2300人。日本に住むインド人の、およそ十分の一が西葛西に住んでいる。ただ、大久保のコリアンタウンや、横浜中華街とちがって、西葛西の駅を降りてもインドらしさはどこにもないし、カレーの匂いが漂ってくるわけでもない。目につくのはどこにでもあるチェーン居酒屋や量販店や銀行や・・ようするに、どこにでもある郊外風景でしかない。

その西葛西に、きょうは地元のインド人が集結するというので、参加させてもらうことにした。南口を出てすぐの公園で開かれる『ディワリフェスタ』である。



季節はずれの台風接近のおかげで日にちと場所を変更して、今年は11月21日に開催されたディワリフェスタ。もともとインド各地で祝われてきた重要な春と秋の収穫祭、ホーリー(Holi)とディワリ(Diwali)を日本でも祝おうという趣旨で始まったこのイベント、今年で11回目になるという。当初は地元のコミュニティセンターを会場に、ほぼインド人だけでが集まっていたのが、会場を屋外に移してオープンなかたちにしたのが3年前。つい最近のことなのだが、会場にはインド好き、カレー好き、ただお腹すいたひとなど、たくさんの日本人が詰めかけていて、もしかしたらインド人より多いんじゃないかというくらい。それほど短期間で、このフェスタは西葛西の”お祭り”として地元に認知されるようになったということだろう。

今年の会場になった『子供の広場』(総合レクリエーション公園)には、中央のステージを囲むように、都内各地のインド料理店や衣料、アクセサリーを売る屋台が立ち並び、お祭り気分を盛り上げている。屋台の中にはインド銀行や保険会社、インド占い、ヨガ、インターナショナル・スクール、さらにはボリウッド・カラオケ・コーナーまであって、地元インド人コミュニティのサイズと安定性を実感できる。

そうした屋台のあいだを忙しげに歩き回り、インド人にも日本人にもニコニコ話しかけている立派な白髪・白髭のインド紳士がいた。ジャグモハン・スワミダス・チャンドラニさん、1952年にインドのコルカタ(カルカッタ)で生まれ、1978年に来日。今年が在日32年というベテランであり、江戸川インド人会の会長であり、ようするに西葛西インド・コミュニティの最長老である。きょうはそのチャンドラニさんに、西葛西がリトル・インディアになるまでのお話をうかがった。ちなみにチャンドラニさんは流暢という域を通りこした完璧な日本語を操る、語学の達人でもある。




http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/

玉袋筋太郎さんのDVD ナイトスナッカーズ発売!

僕のスナック遊びのお師匠さんでもある、浅草キッドの玉袋筋太郎さん。そもそも実家が西新宿のスナックだったという超ベテラン・スナッカーですが、去年スカパーで6回にわたって放映された伝説の深夜番組『玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ』、ご覧になったかた、いますか。新宿、押上、下北沢、荒木町から銚子!まで、飲み屋街に撮影クルーを引き連れた玉さんが毎週突入。とりあえず玉さんがひとりで見知らぬスナックのドアを開け、その場で取材交渉。つまり事前の段取りなし! それでオーケーとなったら、外で待機しているクルーを呼び寄せ、ママさんやマスター、常連さんにインタビューしたり、いっしょに飲んで歌って大騒ぎするという、いかにもスナック的なぬるま湯気分にあふれた、楽しい番組でした。放映時はちょうど僕がウェブ上でカラオケスナック連載をしていたときなので、数少ないスナック同志として、心強く思っていたものです。

全6回の放映で終わってしまったのが残念と、玉さんと会うたびに話していたのですが、その全エピソードがなんとDVDになってしまいました。今月15日発売、本編2時間に加えて新たに撮りおろされた両国編、玉ちゃんによるスナック初心者用ガイド「迷わず行けよ、行けばわかるさ、スナック道」などの特典映像付き。これで3675円は安いです!




スカパー!にて放送された伝説の人気バラエティ番組(全6回)。
毎回、お笑い芸人の玉袋筋太郎を隊長として、陽が落ちたころを見計らって東京近郊のさまざまな駅に降り立ち、その付近をそぞろ歩きしながら秘境の地『スナック』を探し、突入取材を敢行。ママさんやお客さんとの愉快なおしゃべりを中心に、店の自慢や歴史、そこに集う人間模様などをおもしろおかしく、時にしんみりしながら、紹介していく。お店の場所、料金システム、おすすめメニュー、ナンバー1カウンターレディの紹介など、「スナック・カタログ」的な情報も紹介。コレを見ればスナックがわかる!
(公式サイトより)

なお、番組放映時のウェブサイトでは、いまもエピソードのさわりが見られるようなので、こちらもチェックしてみてください。

http://entame.express.jp/snack/special/index.html

初めてドアを開けた店で、初めて会うママさんやお客さんのフトコロにスッと入り込んでしまう、玉袋筋太郎さんの絶妙な話芸(と飲みっぷり)。これからスナック・ワールドの探検に乗り出そうというひとにとっては、最高のハウツー・プログラムです。勉強になりますよ〜。



障害者による「ドラえもん・アート」!


ツイッターでもちょっとだけ書きましたが、先週水曜から日曜まで、六本木ヒルズのテレビ朝日ギャラリーUMUという場所で、『ドラえもんを描く My DORAEMON』が開催されました。テレ朝の番宣ではやっていたものの、アート・メディアではほとんど取り上げられなかったので、見逃してしまったひとも多いのでは。


たった5日間の会期、しかもテレビ局のビル1Fで入場無料、という時点でファインアートっぽくないと思われるでしょうが、しかし日本をはじめ韓国、台湾、シンガポール、ネパール、イタリアなどの各国から寄せられた、千数百に及ぶ作品の中から選ばれた59点が展示されたこの小さな展覧会は、予想よりずっとおもしろいアウトサイダー・アート・エクジビションでした。

展覧会を主催したのは社団法人林原共済会。岡山のバイオテクノロジー企業・林原グループが母体になったNPO組織で、2003年から『希望の星』と名づけた障害者のアート・エクジビションを開催しています。ちなみにその第1回は京都・亀岡にある知的障害者施設みずのき寮の入寮者たちの作品を集めた『みずのきの絵画 鶏小屋からの出発』でしたが、1994年にそのみずのきの作品を集めた『art incognito』という画集を、小出由紀子さんと共著で出版したのも、懐かしい思い出です(藍風館 1994年・・いまは古本屋さんで探してもらうしかありません・・http://totodo.jp/SHOP/G1-0080.htmlなど)。


会場はけっこうたくさんの、しかしふつうの現代美術展とはぜんぜんちがう種類のお客さんたちでにぎわっていましたが、残念ながらカタログもなにもなかったので、携帯電話で会場の様子を撮らせてもらいました。雰囲気だけでも、わかってもらえれば・・。

『希望の星』は今年、ドラえもんをテーマに選びましたが、去年はモナリザ! その作品はカタログになっていて、購入できます。これもすごくおもしろいので、興味ある方はぜひご一読を。

モナリザ展は1年以上、国内、海外を巡回しているようですが、このドラえもん展もこのあと香港、そして倉敷の加計美術館などへ巡回するとか。六本木で見逃してしまったひとは、どこかでキャッチしてください! 障害を持つ世界のひとびとにとっては、もしかしたらモナリザ以上に親しいアイコンであるドラえもん。作品にあふれる発想の広がりは、難解な現代美術の展覧会ではほとんど出会えない、筆をふるい、絵を描く原初的な衝動と喜びを、僕らに思い出させてくれるのです。











ラブホテル裏物語・・カバー写真だけですが

もともと2008年に単行本として出版された『ラブホテル裏物語 女性従業員が見た「密室の中の愛」』という、ちょっと興味深い本があります。大月京子さんという1955年生まれ、「訳あって、昭和の末期にこの世界に飛び込む。以来20数年、渋谷、新宿などのラブホテルのフロント、客室清掃などを担当」という超ベテラン・ラブホテル業界人が、数々の興味深いエピソードを開陳した楽しい本で、僕も出版当時に買ったのですが、それが今回、文春文庫の新刊として再登場。そのカバーに、むかし撮影したラブホテルの写真を使ってもらえました。

ドア越しに聞こえる絶頂の喘ぎ声なんて序の口。浴槽にぶちまけられた納豆の異臭、来ると必ずバイブを三本頼む若い女性、ベッドの脇で首輪をつけてたたずむ裸の中年男性、尋常ではない唸り声、入れ歯の忘れ物…ラブホテル女性従業員が見てきた仰天カップル達の実態と裏稼業のじーんとくる話満載の、まさに「裏物語」。(BOOKデータベースより)

おもしろそうでしょ、紹介文を読んでるだけで。で、ほんとにおもしろいですよ!

2010年12月1日水曜日

プリンツ21:当世とりかえばや物語


お知らせがちょっと遅れてしまいましたが、いま発売中の『PRINTS 21』の連載『当世とりかえばや物語』で、今号はふたり(組)の楳図かずお・コスプレさんを取り上げています。ひとり目はピョン子に扮する美大生、そして楳図マニアのアメリカ人男性ふたり組。これは珍しい・・というか完璧なコスにびっくり。楳図コス日米対決、ご覧ください!


オレサマ商店建築:ホストクラブ愛本店

連載12回目にして最終回という短命に終わることになった(涙)、この連載。最終回にふさわしく、僕が知るかぎり日本最強のゴージャス・インテリア商業空間、歌舞伎町のホストクラブ愛本店を撮影することができました。行ったことあるひと、いますか。いまホストクラブ愛では、初回限定スペシャルコース、2時間5000円という超低価格サービス中。ぜったい安心の店なので、未体験の女性陣はぜひいちど禁断のドアを開けてみてください!


若き日のやんちゃぶりを都合よくすっかり忘れた都知事が旗を振る浄化作戦のおかげで、いまやずいぶんエネルギーを削がれた感のある歌舞伎町。酔客にホステス、ホストにキャッチに深夜ブティックに屋台でごったがえした裏通りも、いまや空き店舗の表示が目立って寂しいかぎりだ。

そんななかでもいまだに電飾ギラギラ、そこだけエレクトリック・サーカスのごとく激しい夜のオーラを放っているのが、愛田武社長ひきいる愛田観光グループ。現存最古の老舗ホストクラブ『愛』本店を中心に『ニュー愛』、パブ『カサノバ』、おなべBAR『マリリン』など数店舗を歌舞伎町の一角に集中経営する愛田社長は、この町でもっとも知られた顔である。


本誌の読者で『愛』の常連だという方は多くないだろうが、電飾にオブジェに鏡にホストの顔写真が渾然一体となった、あのめくるめくファサードを見たことのないひとは少ないはず。歌舞伎町にかぎらず、夜のお店のほとんどがシックで抑制の効いたデザインを指向しているなかで、愛グループだけはひときわ目立つ存在感を誇示している。

キラキラのファサードを抜けて、キラキラの階段を降りて店内に足を踏み入れると、そこはさらにキラキラの海。電気仕掛けの極楽浄土だ。そしてこのインテリアをすべて、愛田社長みずから手がけているといったら、みなさんは信じるだろうか。ご本人に、お話を伺ってみた!