2010年7月28日水曜日

オレサマ商店建築:東広島・伴天連

広島県東広島市西条。県道32号線から「広島カントリークラブ西条コース」の指示看板を頼りに脇道に入り、コース内を通り抜けて裏山へと登っていく。人家も途絶え、こんなところに・・と不安が募るころ、カーブした道の先に「伴天連」と大書された柱が。ああ、やっと見つかった。これが広島エリアで名高い「ゴシックホラー喫茶」伴天連(バテレン)なのだ。

伴天連のマスター・藤田喜代男さんは昭和7年生まれ。今年78歳になった。数年前に奥様を亡くされてからは、ひとりでこの超絶喫茶店を切り回して、来年で50周年を迎える。



「まあ、始めたときから、あいつは頭がおかしくなったと言われたし、いまも地元じゃ『西条のお化け屋敷』っていうほうが通るぐらいだけどね」と藤田さんは静かに笑いながらコーヒーを煎れ、手元のステレオをこちょこちょいじってたかと思うと突然、店内に響きわたる女の絶叫! 頃合いを見計らってCDをかけたり、ロープ仕掛けの生首をドスンっと天井から落っことしたりして、なにもしらないお客さんを卒倒寸前に追い込むのが、藤田さんのなによりのお楽しみなのだ。実際に、店内で失神したり、失禁した娘さんもいたとか。


奥様が店に出ていたころは、アイスコーヒーを頼むと「ウンコです」、メロンジュースを頼めば「青虫ジュースです」と言いながら出してくれる過剰なサービスもあったのだが、いまは藤田さんひとりが静かにカウンターに座って相手をしてくれる。「前はデート用に日曜だって正月だって開けてたし、夜も遅くまでやってたけど、もうからだが持たないから夕方6時ごろには閉めちゃってます」という伴天連。いまのうちに、その恐るべき過剰装飾空間世界を、ぜひナマで体験していただきたい。