2010年7月1日木曜日

東京右半分:和様ギャングスタとしての極道ジャージ

思いっきりオーバーサイズのトレーニングスーツ(ジャージ上下)。斜めにかぶった野球帽。足元は登山もしないのにティンバーランドのブーツ。それに肩凝りしそうなゴツいゴールドのアクセサリー……。言わずと知れたギャングスタ・スタイルの正装だ。

こんなところにも、と驚くような小さな町の電柱や壁にも、いまや地元のヒップホップ・グループのライブ告知が貼ってある。日本全国、そしてパリからバンコクからヨハネスブルクにブエノスアイレスまで、いまやヒップホップ・カルチャーと、その「制服」としてのギャングスタ・ファッションは全世界的な「スタイル」として、すっかり定着した感がある。

しかし! ブロンクスやイーストLAでギャングスタ・ファッションが生まれたのと同じころ、日本の片隅で「和様ギャングスタ」とも呼ぶべき、まったくオリジナルな漢(オトコ)のファッション・デザインが生まれたのを、君は知っているか。



ギャングスタと同じような、ジャケットもパンツも裾を絞らないルーズなシルエット。黒一色、白一色など、基本的にシンプルな色づかい。なのに、背中や胸にはものすごく場違いな、大判のブルドッグとかのイラスト! そう、「ヤクザ・ジャージ」とか「極道ジャージ」と呼びならわされる、トレーニングスーツなのに「トレーニング」という語感からもっとも遠くに位置する、異形のスポーツ・ファッションだ。



『GALFY』、『LOUIS VERSUS』などと欧米っぽいブランド・ネームを持ちながら、実はすべて純日本メーカー。それも東京ですらなく岐阜が中心という、ローカル・ヒーローによる、ローカル・ヒーローのためのデザインーーそこに「極ジャー」の真価がある。

今週、来週と2回にわたって、「極ジャー」について探りを入れてみた。まずは着こなし編から!