2010年4月29日木曜日

バイラル広告あれこれ


以前、このブログで『エクストリーム・シープ・アート』というサムスンのバイラル広告(ネットに媒体を特化させたオルタナティブな広告スタイル)を紹介しましたが、
いつもいろんなネタを教えてくれるネット目利きの友人が、またひとつおもしろいバイラル広告を教えてくれました。

とりあえず、ここに飛んでみてください。最初のロードにはけっこう時間がかかるのですが(2回目からは速い)、画面中央のナンバーがだんだん小さくなっていって、最後に動画のスタート画面があらわれます。


さらに我慢して動画を見ていくと・・・・どう? とんでもないことになってるでしょ! 最後まで見ると、「新しい動画を作ってみよう」というメッセージが出るので、指示に従って操作すれば、自分が主人公の動画があっというまにできちゃいます。

これ、Oblickというスウェーデンの、ストリーミング系のプロバイダーが流しているバイラル広告。ぜんぜん広告になってないというか、画面の端っこに小さく企業名が出ているだけというのがすがすがしいですが、発信源がニューヨークでもロンドンでも、まして東京でもなく、ストックホルムというところがまた素晴らしい。Oblick=斜めに見る、というネーミングそのままの、最高にクールなデジタル時空間デザインです。

いまや高速ネット環境と、コンピュータさえあれば、全世界が同じソフトウェアを使っている以上、知的、創造的地域格差なんて存在しないという事実を、この作品は如実に示してくれています。いまだにカネかけて、目アカにまみれた芸能人を出せばいいと思ってる日本の巨大広告代理店のひとたちは、こういうのをどう見るんでしょうねえ。

最近のバイラル広告がどうなっているかを見たくて、ちょっと調べたら、こんなのもありました。


これはアメリカのファストフード・チェイン、バーガーキングのバイラル広告ですが、なにしろつくりがすごい。画面の下にあらわれるボックスのなかに、たとえば「dance」とか、「sleep」とか、「make a sandwich」とか指示をタイプすると、画面のチキンマンがそのとおりに動いてくれるんですから! なんかロードムービーみたいな風合いもいい感じだし、「sex」とか無茶な指示を書き込むと、カメラ(というか画面)に近寄って、チッチッって指ワイパー(死語?)してくれるのもかわいいです。

もうひとつだけ、これこぞテレビじゃ放映できない、フォルクスワーゲン・ポロの傑作バイラル広告を。


テロリストが主人公という設定もすごいが、自爆しても車の外はなんともない、というオチもすごいというか・・・。こういうの探してると、ほんとに飽きないですね。というか、仕事にならなくて(涙)。しかし、その昔は「傑作コマーシャル集」なんてのが日本でもあって、それだけたくさん見てても飽きない、超短編映画みたいなテレビ・コマーシャルが日本にもたくさんありましたが、みんなどこ行っちゃったんでしょう。JUNのアヴェドン・シリーズとか、もういちど見たいですよねー。

実は日本でもずいぶんバイラル広告は出だしていますが、ニコニコ動画を使ったピザーラのサイトみたいに、なんだかオタクっぽいというか、サブカル風味のものがほとんど。たぶん、ターゲットがそんな層だと思ってるんでしょう。マーケットリサーチ、浅すぎ! だから、なかなかスウェーデンのOblickみたいな発想に行かない・・・。残念です。