2010年2月3日水曜日

九州に残る伝説のグランドキャバレー白馬


 規模からいえば熊本県第2の都市、八代(やつしろ)。駅を降りれば目の前に「日本一 イ草と晩白柚の里」と大書された看板が立っている。ちなみに晩白柚(ばんぺいゆ)とは、巨大なザボンのこと。イ草はもちろん畳表に使うので、国産の8割を占めるという特産品だが、中国製の安いイ草が市場を席巻し、畳自体の生産もかつてとはくらべものにならない現在では、八代を支えるのは日本製紙、興人、メルシャン、YKKなどの工場である。



 ここもまた見事なまでのシャッター通りと化した中心部の本町商店街を歩くと、一端が飲み屋街になっていた。町の規模に比べて、異常とも言えるほどの数のバーやスナックは、かつての八代の繁栄ぶりをものがたっている。その中心部にそびえるのが<キャバレー白馬>(正式名称はディスコ&キャバレーニュー白馬)。流れるようなネオンの”"White Horse"が目に鮮やかな、おそらく大阪以西で唯一残る、オーソドックスなグランドキャバレーだ。




 八代は女優の石田えりに永島暎子、ソフトバンクホークスの松中信彦、さらには麻原彰晃まで多彩な有名人を生んできたが、八代といえばやっぱり、まずは八代亜紀。キャバレー白馬はいまからおよそ40年前、15歳の少女だった亜紀さんが、18歳と年齢を偽って、クラブ・シンガーとして初めて舞台に立った、伝説の場所でもある。