2010年1月6日水曜日

注目の展覧会ふたつ:広島と埼玉

もう、こと公立美術館の展覧会に関しては東京が日本のアートの中心じゃなくなって久しいですが、いまちょうど、地方の美術館でおもしろそうな展覧会がふたつ、開催中です。




小村雪岱とその時代:埼玉県立近代美術館

もう10年ぐらい前にアートランダム・クラシックスという、もっと知られるべきなのにB級扱い、または忘れ去られている内外の個展画家たちを選んで、シリーズの作品集にしたことがありました。その中で、個人的にもっとも思い入れが深かった、というか出したかった1冊が『小村雪岱』。初版はたしか1999年でした(そのあと2004年にBNN新社という出版社から再版されてますが、それは編集者の僕がまったく知らないうちに出されちゃったものです!)。第二次大戦前の、日本がいちばん粋だった時代に花ひらいて、いつのまにか忘れられてしまった、繊細なグラフィック・ワークの精華。デザイナー、編集者、そしてイラストレーターの方々、必見です! 2月14日までなので、お早めに。
公式サイト:http://www.momas.jp/3.htm





一人快芸術:広島市現代美術館

もー、これはタイトルで損してますねえ。「Art of Power Born of Pleasure」という英語のサブタイトルは、さらにワケわからないです。が、しかし! 内容は素晴らしい。アウトサイダー系から、梅佳代のようなプロの写真家まで、アートのトレンドとは無関係にひとり、つくることの快さだけを大事にして、とんでもない作品を産み出しつづける19人/組のグループ展です。高知のセルフビルド集合住宅として、あまりに有名な沢田マンション(の大家さんと住人による展示)や、拙著『巡礼』でも紹介させてもらった、横浜寿町のドヤからウルトラロココな帽子アートを発信する宮間英次郎さん、ガムテープ文字の修悦体で知られる佐藤修悦さんなどなど、パワフルな人材が勢ぞろい。なかでもおすすめは、毎年島根の平田で開催されるお祭りの出し物、「平田一式飾」の傑作群。日用品を集めた立体コラージュは、もう完全に現代美術の世界です。これは必見! ほんとに! 2月21日までなので、安い出張パック買ってすぐ行きましょう。
公式サイト: