2009年7月30日木曜日

直島銭湯 I ♥ 湯、ついに開湯!


大竹伸朗が大阪の建築集団・グラフと組んで、直島に作っていた銭湯「アイ・ラブ・湯」が先週、ついにオープンしました。

 公式ウェブサイト:http://www.naoshimasento.jp/#/ja

フェリー・ターミナルそばの住宅地に忽然と出現した「アイ・ラブ・湯」は、巨大なアートワークであると同時に、長らく銭湯のなかった地域住民にベネッセからプレゼントされた、実用的な公共浴場でもあります。
「アイ・ラブ・湯」については、これからたくさんの報道が出てくると思うので、ここで詳しく紹介はしませんが、とにかく大竹くんの最大の作品であるとともに、最高傑作でもあります。2006年10月に東京都現代美術館で、『全景』と題された回顧展が開催され、それは生まれて以来50年以上にわたる「絵とともに生きた人生」の集大成でしたが、今回の「アイ・ラブ・湯」は、いままで大竹伸朗がたどってきたアーティストとしての道程を、ひとつの空間に集合させた、伽藍としてのレトロスペクティブとも言えるものです。


よく言われる「アートと地域のコラボレーション」が、ほとんどの場合にアーティストやキュレイター・サイドの一方的な思いこみに過ぎないのに対して、今回の銭湯プロジェクトは、なによりもまず地域住民を熱狂させている点が、他に類を見ないユニークなポイントでもあります。
向かいに住むおばあちゃんは、窓を開けてずーっと、訪れるお客さんたちにニコニコ微笑みかけているし、近くのスナックのママさんは、「あれ、ええやろー! わたしら、できるとこ、ずーっと見てたんやで」と、僕らに自慢して話が止まりませんでした。これほど、地域に愛された「アート・プロジェクト」が、いったいいままであったでしょうか。
いま直島に行けば、かわいらしいビーチで海水浴も楽しめます。この夏、いち早く訪れ、湯に浸かって大竹ワールドに溶けることを、強くおすすめします!


そして、このブログの読者諸氏だけに、ワンポイント・アドバイス。ちょっと郵便配達夫シュヴァルの理想宮を思わせるような、その建築は無限のディテールの集積でもあるわけですが、ショッキングなヴィジュアルに隠れて見落としがちなのが、建物の周囲に置かれた観葉植物のプランター。なんの変哲もない発泡スチロールの箱に見えるのですが、触ってみるとこれが実は・・・発泡スチロールそっくりの陶器なんですね! 
わざわざ信楽で、職人さんに「発泡スチロールの箱を渡して、これを型にして陶器にしてくれって頼んだんだよね」と、アーティスト本人が笑いながら教えてくれた、愛すべき隠れキャラ。直島訪問の際は、触って確かめて、記念撮影をお忘れなく。というか、大量生産して、売ってほしいですけどね。


 公式ウェブサイト:http://www.naoshimasento.jp/#/ja

今週のスナック:湯島セラヴィ



風俗と居酒屋とスナックが渾然一体となった、湯島のドンキホーテ裏の一角。<プチシャンソンパブ・セラヴィ>というその店は、名前のとおりシャンソニエ、つまり生でシャンソンを聴きながら、お酒を飲める空間です。
もともと銀座でナンバー・ワンを張っていたという、シャンソン歌手のマダム順子が、この店のオーナー。25年前に開店した当初はシャンソンを聴かせていたのが、いつのころからか、湯島にほど近い上野・東京芸大の音校生たちが働くようになって、様相一変。


ピアノ、バイオリン、声楽・・・日本最高の音楽大学で学ぶ彼らは、いずれもプロを目指す”本気のアーティスト”たち。10人近いラインナップが、ふたりか3人ずつ日替わりで入っていて、夜7時半から11時半という短い営業時間に、3回もショータイムを設定しています。
時間が来ると、「それでは、これからショータイムを始めさせていただきます」という上品な挨拶とともに、ピアノに座った女の子が「それではまず、ショパンの『雨だれ』から」とか、それまでカウンターでグラスを洗っていた男の子が、目の前に立って「オンブラマイフを歌わせていただきます」とか言って、いきなりリサイタル開始。こちらはそれを、ふかふかのソファに沈み込んで、ウイスキーの水割りをすすったり、チーズの皮を剥いたりしながら、堪能する。なんだか遠い昔の、大作曲家のパトロンだった貴族のサロンに迷い込んだみたいで、すごく豊かな気持ちになる。 
ふだんなら逢うどころか、すれちがうチャンスすらない、良家の子女ぞろいの演奏家の卵たちと、額がくっつきそうな距離で杯を交わしながら、とびきりの室内楽に酔ってみたり、お色気映像付きのカラオケでキャーキャー言い合ってみたり。いままでいろんな店に行ってきたけれど、こういう場所は、まずないです。ほんとは、教えたくないんですけどねえ・・。


http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/

演歌よ今夜も有難う、第6回アップしました!


二人で歩いた 由比ヶ浜
その手に乗せた さくら貝
遠い日の切なさ 連れて来る
今も変わらぬ 波の音・・・
あぁ青春が 暮れなずむ
鎌倉は鎌倉は 想い出の街

神奈川エリアのかなりの店で、発売から3年たった現在でもよく歌われて、通信カラオケの上位に入っているという『鎌倉残照』。歌うのは神奈川に根ざした演歌歌手、まつざき幸介さん。


横浜に生まれ育ち、中央大学商学部に進む。在学中の4年間、スナックでアルバイトをしながらカラオケで演歌の世界に親しむものの、卒業後は父の建築設計事務所に入社、働きまくりの10年間を過ごして30代後半になってから、ひょんなきっかけで歌のレッスンを始め、カラオケ大会荒らしを経てプロ歌手としてデビューする。
2006年に『SAKE/鎌倉残照』を本名の松崎英樹名義でリリースしたが、翌年には"まつざき幸介"に改名して、2008年に2枚目のシングルとなる『君すむ街/横浜ロンリー』を発表。現在は月間40~50本のキャンペーンやライブを、たったひとりでマネージメントし、キャリーバッグを引いて回り、CDを手売りして生計を立てつつ、専門学校で建築CADやデザイン、企画の講師もつとめる、異色のインディーズ・アーティストです。
http://blog.heibonsha.co.jp/enka/

いまは亡き日本最大のグランド・キャバレー、それは昭和の夢空間だった

月刊「商店建築」で連載中の「オレサマ商店建築」。今月は、この2月末に惜しまれながら閉店してしまった日本最大のグランド・キャバレー、歌舞伎町クラブ・ハイツの、ドリーミーなインテリア・デザインを紹介しています。


フロア面積350坪、席数670,ホステスさんが最盛期には300名近く勤務していたという、いまでは信じられない、それはオトナの社交空間でした。
チェコスロヴァキア製の巨大シャンデリア、石張りのダンスフロア、そしてなによりも他に類を見ない円形の空間構成・・もう体験することのできない、そのゴージャスな昭和世界を、せめて大判の誌面で堪能してください。



今週のマスト・バイ!: I ♥ 湯・洗い桶


今週のトップで紹介した、大竹伸朗による直島の「 アイ・ラブ・湯」。入口のカウンターにはいろんなグッズも販売中で、ファンは見逃せませんが、中でも押さえておきたいナンバーワン・アイテムが、銭湯には欠かせない洗い桶。あのケロリン桶を思い起こさせるカラーリングと素材感を忠実に再現し、もちろんオリジナルのロゴがプリントされています。これは欲しくなりますねー。東京のオシャレ・アーティストグッズ・ショップじゃ、扱わないと思うし。入湯の際には、タオルやTシャツ、団扇などとともに、一式丸ごとゲットしておきましょう。
ちなみにご本家ケロリン桶のほうは、いまでも年間4〜5万個、いままでに累計で200万個も出回っているそう。これも、知られざるジャパニーズ・デザインですねえ。


2009年7月22日水曜日

今週のスナック:西調布・美ゆき


西調布の小さな駅を南口に降りると、ほとんど目の前にあるのが、昭和の香りを色濃く残す南口商店街。裏手には10数軒のスナックが並ぶ飲み屋街。いま大人気の演劇集団・鉄割アルバトロスケットの主宰者にして、このほど自伝的小説『まずいスープ』で第141回芥川賞にもノミネートされた戌井昭人さんが、「オレのオヤジが通ってる店なんですよー」と推薦してくれたのが、<スナック美ゆき(みゆき)>です。『まずいスープ』は戌井さんのお父さんが主人公のようなものなので、作品を読んでから飲みに行くと、気分が盛り上がるかも(『新潮』2009年3月号掲載)。

 年季の入った木のドアをおそるおそる開ければ、そこはカウンターとソファ席がいくつかの、それほど大きくない典型的なスナック空間。しかし平日の夜、それも早い時間だというのにお客さんは満員! しかもママに加えて女の子がふたりも3人も、カウンターのお客さんの背中を押しながら動き回ったり、ソファのスツールの脇で床にしゃがんだりしながらドリンクを作ったり、大賑わいだ。こういうと失礼だけど、こんな小さな駅前の、こんな小さな店が、こんなに盛り上がってるとは夢にも思いませんでした。



アサヒカメラ連載『今夜も来夢来人で』:山形

山形市・スナック来夢来人の恵子ママ

駅に降り立てば、いきなりサクランボの臨時売店が並んで迎えてくれる、初夏の山形市に行ってきました。わざわざスナック撮影するために・・・。山形の夜の中心は、古い街並みが残る七日町。最盛期の昭和初期には40〜50軒の置屋と待合いが軒を連ねた花小路の周囲に、いまでもたくさんのスナックやバーが店を開いて、なかなか飲み助にはたまらない風情。飲食街の端に店を構える山形の来夢来人は、平成元年オープンの老舗スナック。道路からビルの奥に入り込むエントランスは、フリーのお客さんにはちょっと敷居が高い雰囲気だが、いざ入店してみれば、思いがけず広々とした内部、そして円形のカウンターにまず驚き、手作り山菜系のおつまみのおいしさにまた驚き。居心地よかったですよー。
ちなみにこの連載の前のページは各界著名人のカメラ・コレクションという、うちよりはるかにアサヒカメラらしい連載なのですが、今回登場しているのはポリスのアンディ・サマーズ。使用カメラはライカM6。撮るのはモノクロだけ。較べられちゃうと、ちょっと恥ずかしいです。



追悼:岐阜のエロ本小屋主


先週は安田老人の追悼記事を書きましたが、まさかこんな・・・と絶句する衝撃ニュースが飛び込んできました。
『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』と題した本を去年、晶文社から出したのですが、その巻末に紹介したのが、岐阜山中に隠れた通称「エロ本小屋」。山奥の小屋にエロ写真の切り抜きが数万枚も堆積する、超絶の欲情空間でした。
エロ本小屋への道案内をしてくれたのは、中部エリアの廃墟を定点観測するアマチュア・フィールドワーカーたちでしたが、彼らのひとりから先日来たメールによると、エロ本小屋の主がこのほど、亡くなってしまいました。
もともと、件のエロ本小屋は地元でもある程度、知られた存在で、所轄警察署が不法投棄で立件するという話も持ち上がっていました。そこで観測者たちが見回りを強化していたところ、6月あたりから小屋主が、エロ本小屋の隣に停めた車の中で生活するようになったそうです。もともとは、たしか家庭もあったと思うのですが。
そして7月のはじめ、チェックに行ったひとりが、車から身を投げ出した状態で冷たくなっていた小屋主を発見しました。いったいこの数ヶ月のあいだ、彼になにが起こったのでしょうか。
また、詳しい事情がわかれば、このブログでもお伝えしますが、いまはただ、この孤独な表現者の冥福を祈るばかりです。

参考のため、以下に『だれも買わない本は・・』のエロ本小屋紹介記事、全文を転載しておきます。機会があれば、本もご覧ください。


枯れ葉のかわりに情欲が堆積する、岐阜山中のエロ本小屋

 岐阜県美濃地方、車で行くと中央自動車道土岐インターで降りて30分足らず。山奥というよりサバービアな雰囲気が濃厚な、とある温泉場の奥に、その小屋があった。
 舗装路から枯れ葉で覆われた山道に乗り入れてすぐ、太い樹木が横倒しに道を塞いでいる。雨風で倒れたのではない、明らかにだれかが明確なメッセージを込めて、切り倒したものだーーこの先、入ルベカラズと。
 倒木のある地点で車を捨て、山道を登ること数分、深い樹林に隠れるように、ぼろぼろの小屋が、かろうじて建っていた。手前の路上にはおびただしい数の真新しい紙切れが散らばって、真っ白い水溜まりのように見える。恐る恐る近寄ってみると、それは無惨に切り刻まれたエロ・グラビア写真の堆積物だった。
 「これ、昨日の雨に打たれてないということは、昨夜から今朝にかけて、来てるはずです!」と、ガイド役をかってくれた地元の廃墟ハンターが興奮気味に語る。その口調は希少動物を追いかけるフィールド・サイエンティストそのものだ。
 快適な森林浴にこそふさわしい豊かな緑の中に、あまりにも場違いな肉色のグラビア女体たち。切り刻まれた画像の端々から、こちらを見つめる目、目、目。いたたまれなくなって小屋の中に足を踏み入れると、そこは畳を剥がした床まるごとがエロ・スクラップで覆いつくされた、怪奇きわまるインスタレーション空間だった。
 エロ漫画、エロ実話誌や投稿誌のグラビア・ページ、スポーツ新聞の広告に、ウェブページのプリントアウト・・・。切り抜かれたイメージも日本人アイドルから金髪外人、文字情報まで多種多様、百花繚乱。いったいどこのだれが、こんな場所で、こんなに濃密なスクラップ宇宙を作りつづけているのか。
 中部地方を主な活躍のフィールド(狩り場?)にしている3つの廃墟調査グループ、『東海秘密倶楽部』、『TEAM酷道』、『アドレスV100』らの熱心なハンターによって、この”エロ本小屋”(と仮に名づけておく)はもう1年以上、定期的にウォッチされてきた。彼らのリサーチによれば、小屋の主(というかスクラップ・アーティスト)は岐阜県在住らしい中年男性で、週にいちどかそこらの比較的ハイペースでやってくる。自動車に素材となるエロ本を山積みし、夜ともなれば頭部に登山用のライトを装着し、もちろんたったひとりで、ときには一晩中、無言のまま切り抜き作業を続けているそうだ。
 毎回かなり長時間をこの場所で過ごすらしく、周囲には切り抜きやエロビデオのパッケージとともに、ペットボトルや弁当容器など多量の生活ゴミが、無造作に捨てられていた。
 アートとは言わないまでも、自分の作品としてエロ・スクラップを作りつづけている人は少なくない。ただ、そういう人たちにはかならず自分なりの好みの世界観があって、だからこそ彼らのスクラップブックは、イメージのコレクションとして成立するわけだ。
 ここには、そういうスジの通った道理は、ひとつもない。”女体”という言葉でしかくくれない、あまりに広範なエリアのイメージが、これっぽっちの愛情も込められずにただ、ただ切り抜かれ、山中に放り出され、積み重なっている。
 これはもはや、コレクションですらない。ゾウの墓場のごとき、紙片に貼りついた情欲の墓場だ。制御不可能なまでに膨張した情欲の。
 発散というアウトプットのすべを持たないまま、性的な妄想のイメージを過剰に摂取することが、世界のどこよりもたやすいこの国の片隅で、今夜も森の中で、なにかに憑かれたように、なにかに復讐するかのように、ハサミをふるう人間がいる。
 これほどの情欲のオーヴァードーズは、いったいどんな悲劇的結末を彼にもたらすのだろうか。



今週のマスト・バイ!:MJスーツ


マイケル・ジャクソンが亡くなって、なんとかアブク銭稼ごうと写真集が緊急出版されたり、紙ジャケ仕様のCDが売り切れたりしてますが、ファンなら押さえておきたい(?)レア・アイテムのナンバーワンがこれ、マイケル・ジャクソン・スーツ! 岐阜市のワキタが前々から製造販売しているメンズ・スーツで、もちろん本家の許可済み正規品。中国あたりのパクリとはちがいます。
ウェブサイトによれば(http://www.wakita-inc.co.jp/Michael/index.html)、

ジャクソン5のデビューから常に世界第一線で活躍を続けるマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)。その経験に培われたマインドを継承し、「ファンを大切にする=CS(お客様満足度)」を提供できるスーツ作りを基本コンセプトに、マイケル・ジャクソンの完璧なパフォーマンスをスーツで表現し展開致します。

・・・ということなので、このスーツでマイケルの完璧なパフォーマンスを体感してください。ちなみにこのスーツ、年間1000〜2000着、おもに東京方面で売れてるそうで、来年までは販売をつづける方針だとか。ちなみにこのワキタ、MJのほかにあのドン小西のフィッチェなども持っているので、そういうのが好きな方には要注目のアパレル・メーカーです。

2009年7月15日水曜日

超都心だというのに、こんなことになってるのが、不思議なくらいです。で、奥に進むと、ぼんぼりが・・。

朝青龍、すばらしくてきとう! 文句なし!



それにくらべると白鵬とか日馬富士とかはソツなくて、つまんないですねー。


そしてこの人、アホの坂田! 期待を裏切りません。

坂田に負けてない元・酩酊大臣! 生きかた(の不器用さ)が字に出てます。

追悼! 安田老人(1918−2008)

『性豪』を読んでいただいた方にはおなじみ、日本が誇る性文化のフィールドワーカーにして、現役最長老AV男優だった安田義章さん=通称・安田老人が、昨年10月に亡くなっていたことがわかりました。ごく身内だけの葬儀だったということで、判明したのが先週のことでした。


亡くなったのは2008年10月18日、満90歳の大往生です。ご家族によれば、去年からだんだんとからだが弱っていって、最後は自宅のベッドで、眠るように静かに息を引き取られたとのこと。死因は老衰ということです。
ご本人は覚悟していたようで、デイケアの先生には「今年でそろそろ終わりにしたい」と、口にしていたそうです。「やりたいことやりつくして、まあ幸せだったんじゃないでしょうか」と、最後を看取った娘さんがおっしゃっていました。


他人を、常識を気にすることなく、我が道を進めるだけ進んで、悔いのない一生を送る。そんな生きかたの素晴らしさを僕たちに、身をもって教えてくれた安田さん。どうもありがとうございました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

安田さんの眠る、東川口<しらこばとメモリアルパーク>にて



今週のスナック:池袋 村


いままでこの連載で30軒以上のスナックを取材してきましたが、今回の<村>はある意味、最強の店のひとつかも。


なにしろ店のある場所が池袋北口のぐちゃぐちゃ飲食&風俗エリア。しかも地下。店は10人かそこら座れるカウンターとソファ席が少しという狭さなのに、スタッフがママさん込みで7人で、ほとんど1対1の対面接待。それも元・敏いとうとハッピー&ブルー2代目ボーカルの神戸たかしさんに、元芸者の千代松さん、おかまのまゆみちゃん、板前さんなど濃いキャラのオトナが勢揃い。日本酒、焼酎、ウイスキー、ビールが飲み放題に、10〜15品の料理が出されて全員満腹。もちろんカラオケは歌い放題、それでお値段5000円ポッキリ! しかも午後4時から12時という、イレギュラーな営業時間なのに、常時満員状態!
ずいぶん取材を重ねて、スナックのことはちょっと知った気になってたけど、まだまだですねえ・・・。
http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/

着物姿が艶やかな、おりんママ

演歌よ今夜も有難う、第5回アップしました!


塵は積もっても 塚しかならぬ
地殻の変動で山となる
耐えて忍んで 使命待つ
時を創って 時代(とき)を待つ
冬は必ず 春となる
           『冬は必ず春となる』

身長150センチあるだろうか、細くて小さなからだに、祭りのように派手な装束をまとい、亀戸の演歌専門レコード屋で、台の上に立って、やけにスケールの大きな歌を熱唱している女がひとり。歌っているのは浅草木馬亭を拠点に活動する喜劇団<浅草21世紀>の役者にして歌姫、おののこみちさんであります。


2002年に劇団に入ったこみちさんは、舞台ではもうベテランですが、歌手としてはこれがデビュー曲。『冬は必ず春となる』と、舞台でずっと歌ってきたカップリングの『筏流し』の2曲しか、持ち歌はない。CDを企画制作したのも浅草21世紀。劇団による自主制作です。毎月8日間、木馬亭での舞台にレギュラー出演し、空いた時間でレコードショップやカラオケ喫茶、スナックの営業に回る日々。小さなからだに、思いもかけないエネルギーが詰まっている彼女が、いかに鹿児島の田舎で生まれ育ち、平凡な主婦生活に入りつつも、やりきれない思いを舞台にぶつけるようになり、ついには小さな平和を捨てて役者稼業に飛び込み、関西から東京へと流れ着き、現在に至ったかを、語り尽くしてくれました!
http://blog.heibonsha.co.jp/enka/

渋谷駅前ホームレス排除彫刻・その後

さきごろ発売した『現代美術場外乱闘』でも取り上げましたが、東京にかぎらず、街なかでますます目につくようになった”ホームレス排除アート”。パブリック・アートという美名のもとに、ホームレスを排除するために設置される“邪悪なアート”の実態に、あいかわらず美術メディアは目をつぶったままです。
渋谷のマークシティに向かうガード下には、「ウェーブの広場」なる珍妙なパブリック・アートがあるのを、ご存じの方も多いでしょう。マークシティ本体と同様、設計は東急建設。名前は公募で決めたそうで、由来は「この街に新たなウェーヴをおこそう!」という心意気からなんですと・・・。管轄しているのは「渋谷中央街」という商店街の組合ですが、最初からこうだったのではなくて、最初は平らな広場だったのが、ホームレスが常駐しはじめたために波型にしたところ、ダンボールを何枚も敷いてホームレスがしつこく常駐! そこでイボイボ状の突起を設置したら、今度はなんとイボイボを引っこ抜いて(!)、しつこくホームレスが居座ったため、ついにイボイボが引っこぬけないよう、あらためて補強したそうです。こうなると戦争ですねー。


ようやく商店街とディベロッパーの勝利に終わると思われたのですが、最近久しぶりにウェーブの広場を通りかかってみると、おお! ホームレス(もしかしてただの夜涼みの酔っぱらい?)が、イボイボのあいだにからだを沿わせるように、しっかり浸食してるじゃありませんか。うれしいですねえ。
引っこ抜いても引っこ抜いても生えてくる雑草のように、アートでホームレスを排除しようなどという思い上がったアイデアが、こんなふうにワヤにされるのを見るのって、気持ちいいです。暑い季節には毎夜のように観察できると思うので、東急建設とかアーティストとかが、また邪悪な工夫をする前に、見に行ってみるべし!

お台場・東京カルチャーカルチャーでのトークお知らせ: 都築響一の世界3 〜お水ファッション編〜

ニフティが運営するお台場の東京カルチャーカルチャー。名前はともかく、場所はお台場の大観覧車の真下で、ちょっと楽しいロケーションです。
今年、4回にわたってここでトークをやらせてもらうのですが、今月20日には第3回目が開催されます。テーマはファッション。最近、研究しているお水スーツや、ヤクザ系ジャージのことなどを中心に、お話ししたいと思ってます。スタッフによるミニ・ファッション・ショーも、もしかしたら開催! 海の日にお台場、というのもベタかもしれませんが、お時間あればぜひどうぞ。開場6時、開演7時です。当日券のほうが高いので、できれば前売りがお得かと・・。

詳細は写真をクリックしてください。


$今週のマスト・バイ!:石膏デッサン・ガチャガチャ


もう、ないものはないって感じのガチャガチャ・シーンですが、若いアーティストから「こんなの知ってますか?」と見せられたのが、石膏デッサン・ガチャガチャ。数年前に第1集が出ましたが、好評だったようで、このほど第2集が発売されたそうです。
サイズはもちろん、ガチャガチャのカプセルに入る大きさ。ということは小さいんですが、ディテールまですごくよくできていて、びっくり。本物よりずっといい感じというか、ずらりと並べてみたい・・ここは全セット、オトナ買いしかないでしょう。
ちなみにメーカーの商品説明は、以下のとおり:

カプセル文化講座 石膏デッサン入門
美術の授業でお世話になった石膏像。誰もが一度は目にしたことのある有名石膏像がガチャになった! 東京芸術大学彫刻科の学生が造形したカプセルサイズの石膏像は、美術関係者も納得させるほどのクオリティー。「ラボルト」「ヘルメス」「メヂチ」「ジョルジョ」「アリアス」「セント・ジョセフ」「マルス」ブルータス」「モリエール」「シークレット」の10体には、それぞれ石膏版、オリジナル大理石版がございます。

立体カプセル百科事典 石膏デッサン入門2
長らくお待たせしました! 『石膏デッサン入門』に待望の第2弾が登場です。
「パジャント」
「ガッタメラータ」
「ゲタ」
「アポロ」
「武装する女神」
「面冠女神」
「ミケランジェロ」
「ラオコーン」
の8種。それぞれに石膏版とブロンズ版があります。
全16種+シークレット。青春時代の思い出として、インテリアのアクセントとして、カプセルサイズの芸術品をご堪能ください。


2009年7月8日水曜日


これがオリアンティちゃん。やんなっちゃいますね。

2009年7月7日火曜日

今週のスナック:中野坂上:万里子

いつのまにか高層ビル街になってしまった中野坂上交差点から、歩いてすぐ。裏通りにオープンしてまだ8ヶ月目の新しいスナックですが、ここはすごい! なにがすごいって、ママがスナック連載史上最年少の30歳! しかも日独ハーフの超美女! しかも京大に留学経験もありの、ハイデルベルク大を大学院まで卒業したインテリ。しかもそのあと東京に来てタレントにもなって、それから外資系企業でバリバリ働いて稼ぎ、それなのに「30になる前に、なにかやってみたかったから」と(すでにずいぶんいろいろやったと思うんですが)、よりにもよってベタベタなカラオケ・スナックを開いてしまったという、とびきりユニークな経歴の持主。


 ガラス張りで店内が道路から見えるので、一見さんでも気楽に入れるし、突き出しからしてドイツ料理! でもカラオケは純和風。ママさんの持ち歌はAIKO! もう、書いてるだけで楽しくなっちゃいますが、行ったらもっと楽しいですから!

PRINTS 21: 当世とりかえばや物語

ご存じない方も多いでしょうが、プリンツ21という美術雑誌で、『当世とりかえばや物語』という連載を細々とつづけています。コスプレイヤーさんたちを自宅に訪ね、普段着とレイヤー服を着替えてもらい、同じ場所で撮影。それで普段着のほうを裏焼きにして、鏡に映ったように2枚を並べてみるという荒技企画です。季刊誌なので、そうたくさん取材できないのが残念ですが、とにかくいつもはシャイなレイヤーさんの部屋にお邪魔して、撮影させてもらうのが楽しくて!
 コスプレの写真はいくらでもありますが、イベント会場のスナップか、スタジオやそれらしい背景でのロケーション撮影がほとんどなので、私生活がわかるのはこの連載ぐらいかも?
 いつもは1号にひとりのレイヤーさんに登場してもらうのですが、今回は特別にふたり登場。
『FANTASY EARTH ZERO エレガンス装備』のイヲナさんと、


『deadman 眞呼』のS*hiyoriさん。


ちなみに今号の特集は安野モヨコです。アート雑誌なんですが・・。


その後の『TOKYO STYLE』

ついこのあいだ、見知らぬ女性から突然メールをもらいました。「わたしはもうすぐ、いま住んでるアパートを建て替えで追い出されちゃうのですが、それがどう見ても、TOKYO STYLEに載っていた部屋なのです! いちど、引っ越しする前に写真撮りに来てもらえませんか」というのです。
 場所は三軒茶屋の近く。興味津々で訪ねてみたら、やっぱり昔に訪ねた、その部屋でした。本のために撮影したのが1991年か92年なので、もはや18年前! あれから自分にもいろいろありましたが、部屋にもいろいろあったんですねえ。
 6畳と7畳、全部で25平米ほどの部屋に現在お住まいの彼女が、ここに越してきたのはもう12年前。そうだろうなあと思わせる、収集品が部屋のほとんどを占領し、これは引っ越し大変でしょう・・・と同情しちゃいます。
 以前は地方公務員だったという彼女、職場の難しい人間関係に嫌気がさして、拒食症にもなってしまい、やむなく退職。「名簿を見て、職場の人がだれも住んでない区を探したら、世田谷区でした!」というのが、こちらに越してきた理由だそう。
 いまはバイトや派遣でストレスなしの生活を送りながら、お金が貯まれば大好きなアジア旅行に出かけるという生活。そっちのが、ずっといいですよね。ちなみに家賃は月に7万4000円。三軒茶屋駅から歩いて10分もかからなくて、まわりは綠がたくさんあって、もちろんバストイレもついて、これはかなりお得な物件でしょう。
 しかし18年前の部屋と、2009年の部屋と、このちがい! 部屋って、やっぱり住人の個性というか、人となりが作るものだと、しみじみ実感します。そう考えてみれば、建築家って、なんだか空しい仕事ですねぇ!


これが18年前に撮影した物件:

こちらが同じ角度からの、2009年度:


ちなみにディテールはこんな感じ、楽しそうな住まいですね!

$今週のマスト・バイ! 清野とおる作品集『東京都北区赤羽1』



スナック連載を読んでくれてるみなさまにはおなじみ、赤羽の最強スナック『ナイトレストラン・マカロニ』に連れていってくれたのが、実はこの方。知る人ぞ知る、新世代漫画家です。むりやりキャラを作るんじゃなくて、等身大の世界観がすごく心地よいのです。
 その清野さんが、最近まで住んでいた赤羽のアンダーワールドを案内してくれる、紀行漫画というか、コミック・オデッセイのような本が、これ。ケータイまんが王国で去年末から連載されているそうですが、僕は不勉強で知りませんでした。マカロニだけじゃなくて、赤羽の裏スポットや(エロはありません)、裏有名人がいろいろ出てきて、もう、すぐ引っ越したくなっちゃいます! やっぱり東京は、東側のほうがぜんぜんおもしろいですね。
 清野さんはブログも充実してるので、ブックマークすべし!
http://usurabaka.exblog.jp/

2009年7月1日水曜日

追悼! マイケル・ジャクソン



マイケル・ジャクソンは1958年、アメリカ中西部のインディアナ州ゲイリーに生まれました。
インディアナ州はジェイムズ・ディーン、アクセル・ローズ、ジョン・メレンキャンプなどのスターを生んだ土地でもありますが、なんといっても有名なのがジャクソン・ファイブ・ファミリーでしょう。
1989年にジャクソンズ名義で発表されたアルバムのタイトルになった『2300 Jackson Street』が、ジャクソン兄弟の生まれ育った家があったところです。いまは生家は残っておらず、なんの変哲もない住宅地になっています。
ゲイリーの町には、マイケル・ジャクソンが1964年に初めてプロのシンガーとして舞台に上がった『Mr.Lucky's Lounge』も、まだ残っています。かつてこのラウンジ(というかバー)には、男女のトイレのあいだに穴が空いていて(なにに使っていたのかは、ご想像のとおり・・)、マイケルのパパは教育上よろしくないのではと、最初のうち出演を渋っていたそう。
2ヶ所とも、これから巡礼の地になるのでしょうか・・・。
(2003年撮影)