2009年10月15日木曜日

演歌よ今夜も有難う、第11回:16日アップです!


大久保の小さなライブハウスのステージ。空席の目立つ客席の暗闇に向かって、女の子が歌いかけている。余裕、とかじゃない。不安定ながら、とにかく一生懸命な歌声と、ぎこちなさの残る振り付け。


歌い終わると、客席に深く一礼して、彼女は袖から出てくる司会の男を待ち受ける。どうせ、きょうも同じことを聞かれて、ネタにされるのだ——「有名漫才師の娘って、どんな感じですか?」

いづみ=IZUMIさんは、漫才コンビ「おぼん・こぼん」の、こぼん師匠の娘だ。高校生のころに、おぼん師匠の娘・ちひろさんと女子高生お笑いコンビ「くれよん」を結成。しかし2年ほどでコンビ解消。「浅草娘演歌隊」なるグループに参加して、浅草のホールで歌ったり、大阪のステージで歌ったりしながらチャンスを待ち、おととし2007年、はじめて東京のライブハウスで単独ライブ、シングルCD『浅草は心の故郷』を発表した。

まだ、とても歌だけで生活していくことは無理だから、毎日のように地元のパスタ屋でバイトしながら、歌えるところならどこにでも足を運ぶ。厳しいのが当たり前の世界で、彼女もまた、ゴールの見えないコースを、必死に走っている。


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