2009年9月23日水曜日

月刊『アートコレクター』のインタビュー

ちょっと前に発表した『現代美術場外乱闘』のインタビューが、月刊『アートコレクター』という雑誌に掲載されています。

あまりなじみがないかもしれませんが、「見る楽しみ・買う楽しみ」というサブタイトルがついたこの雑誌、なんだか難しいだけの現代美術雑誌より、ある意味ぜんぜんおもしろいです! 僕のインタビューは1ページだけの短いものなので、まあてきとうに読み飛ばしてくれればいいんですが、注目はいつも最後の10ページぐらいにわたって掲載されている、国内外のオークション・ガイド。これからのオークションの目玉作品と予想落札価格、そして最近のオークション落札結果が、きっちり掲載されてるんですね。

藤田嗣治『猫』900万円(毎日「絵画・版画・彫刻 夏のメインセール」7/25)
ルノワール『林檎のある静物』1200万円(シンワ「近代美術」7/18)
パブロ・ピカソ『剣を持った男』約11億円(サザビーズ・ロンドン「印象派・近代6/24)

なんて、有名どころの値段に溜息をつくのも楽しいし、草間弥生から奈良美智まで、おなじみの現代作家が「こんなに高いんだ!」とびっくりするの、また一興。しかしほんとうに興味深いのは、少なくとも現代美術館や美術メディアではまったく聞かれないのに、実はものすごく高い、現代の日本作家を知れること。

たとえば8月号に載っていた、「『21世紀展』でわかるトレンド作家たち」という記事によれば、現代洋画のトップ5は、

1位 森本草介
2位 絹谷幸二
3位 島村信之
4位 中山忠彦
5位 中村清治

だそうです。このうち、何人知ってます? 僕は不勉強にして、2位しか知りませんでした。で、1位の森本さんは、10号の作品で2900万円! しかもこのプライスは、業者間の取引価格なので、実際に画廊で一般人が買うときには、もっと高くなるらしい。

号という単位は、だいたい葉書1枚分で、10号は53x45センチぐらい。ちなみに日本画の1位は平山郁夫で、これは20号で3380万円。号あたりに換算すると、なんと森本さんのほうが平山先生より高い!わけですが、いったいどれくらいの現代美術業界人が、森本草介という名前を知っているでしょう。ちょうど打ち合わせで広島現代美術館に行ったので、そこにいた学芸員たちに聞いてみたのですが、だれも知りませんでした! 森本草介がどんな絵を描くのか、それは各自でネットなどチェックしてみてください。これまた、ちょっと驚きますよ(たぶん)。

メディアに載る「現代」と、実際にカネと作品が動くリアルな「現代」には、これほどのギャップがある。それを知ったのは、ちょっとショックでもあり、教えられるところ大でした。