2009年9月30日水曜日

林の中に、こんなふうにテントが広がってます。野外音楽フェスティバルには見えないですね。



これがスポンサーさまリスト。渋いです・・。


木曽福島近くの路上で見つけた、梨の無人売店。気になって近寄ってみると、


内部はこんなことに・・・。長野、やはり恐るべし!

今週のスナック:西麻布シスター


西麻布の交差点から一本裏へ、アマンドの角を入っていく。いかにも業界人がたむろってそうな、おしゃれなレストランやバーが並ぶ細い通りの奥に、「シスター」と書かれたオレンジ色の看板。なんだか、そこだけ時間が止まったようなカラオケ・スナックだ。


ツタがからまる分厚いドアは、気楽に入ってみようという気を削ぐ敷居の高さだが、勇気を出してドアを開いてみれば、そこは昔ながらのスナックそのもののた たずまい。凛とした美人で、しかもハスキーヴォイスのママさんと、若い女の子がひとり。手作りのおいしい突き出しが出て、「西麻布で、あたしより強いのは いないんじゃないの」というママさんが、がっつりお酒の相手をしてくれて、ふらふらになるまで飲んで歌って遊んで帰れる。
外へ出れば、そこはあいかわらずのトレンディな雰囲気だけど、なみいるどんなお洒落バーも、シスターのあとでは薄味すぎて、入る気が失せてしまう。みんなが知ってる西麻布の、みんなが知らない隠れ名店なのだ、ここは。


http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/002/post-43.php

演歌よ今夜も有難う、第10回アップしました!


♪コスモスの 花ゆれる日に
  来し方の 人生を想う
 人は誰でも 一期一会の
  出会いと別れを くり返し
 遙かなる 歳月の果てに
  心おだやかな 笑顔さわやかな
 ARA喜寿の年に たどり着く
  ああ、、、 ARA喜寿バンザイ
 ARA喜寿バンザイ

    『ARA喜寿バンザイ』玉利要(合格)作詞


昭和11(1936)年、薩摩半島の小さな町・吹上(現・日置市)生まれ。『合格』なる芸名で、すでに28年間にわたり作詞家兼歌手として活動を続けてきた。これまで作詞した曲がすでに2700余、歌手としてCDアルバム2枚、シングル6枚を発表するも、いまだ大ヒットには手が届かず。本人がCDジャケットに「自分は歌手のように上手には歌えないが、天命に従いベストを尽くした」と明記しているように、歌唱力はプロの足元に遠く及ばないまま。しかし喜寿まであと4年という73歳にして、毎日「心おだやかに、笑顔さわやかに」、元気いっぱい歌って、ときには踊って、聴くひと見るひとを元気づけ、勇気づける存在。それが玉利要(たまり・かなめ)=合格さんである。


http://blog.heibonsha.co.jp/enka/

プリンツ21:当世とりかえばや物語

3ヶ月ぶりに発売された(季刊だから当然ですが)、プリンツ21の最新号で、コスプレイヤーさんの自宅2軒を取り上げています。


鹿児島県霧島出身、今年成人式ながら、中学生のころからコスプレしてたベテラン・レイヤーの廃児さん。少女漫画好きからギャルに移行、さらにコスプレに転向して2年目という茶屋さんのおふたり。どちらもこんなにかわいいのに、「けっこう腐女子なんです」と。


ちなみに廃児さんがナルトのサスケ、茶屋さんがフレッシュプリキュア!のキュアベリーなんですが・・どっちがどっちか、わかりますか。





新潮社 yom yom (ヨムヨム):私の本棚

新潮社から出ている、若年層向けの読み物雑誌、ヨムヨム。「私の本棚」という連載があって、毎回いろんな文化人が、いかに本が増えすぎて困っちゃってるか、とかを切々と書いているわけですが、今号に僕が書かせてもらってます。
ただし、よくある本棚自慢じゃなくて、実はいま、ひそかに進めている、「うちの蔵書、全部売っちゃいます!」計画についての、最初のお知らせ。10月中にはスタートできると思うので、目処がつきしだい、このブログでもお知らせしますが、増えつづける本と、態度悪い古本屋に嫌気がさして、ネットで自分の蔵書だけを売る古書店を企画中なのです。
残り少ないかもしれない余生と、本のつきあい方について、いろいろ考えた末のプロジェクトなので、よかったらヨムヨムで、そのワケを古書店サイト・スタートの前に、ご一読ください。



『商店建築』誌で、直島のアイラブ湯を取り上げました


隔月で連載している商店建築の『オレサマ商店建築』。今号では、大竹伸朗画伯の最新傑作、直島のアイラブ湯を取り上げています。すでに行かれた方も多いでしょうが、これからも折にふれてヴァージョン・アップしていきそうな予感。一回見たからいいや、じゃなくて、これからもときどき行ってみないといけない感じですね。




名古屋と東京でのトークイベントのお知らせ

秋は芸術の季節?(笑) 名古屋と東京で、アート系のトークイベントを、ふたつ続けて開催します。
10月15日には、「浅野祥雲作品再生プロジェクト」と題して、五色園や関ヶ原ウォーランドなど、知られざるコンクリート彫刻の傑作を数多く残した、名古屋の天才彫刻師・浅野祥雲の作品群の保全計画を進める地元ライター・大竹敏之さんに誘われて、名古屋の得三(トクゾー)というライブハウスでトークをやります。
最近、『東海珍名所 九十九ヶ所巡り』という労作を出版した大竹さんは、まったくのボランティアで浅野作品の保全プロジェクトに取り組んでいる、奇特な存在です。当日は大竹さんが撮り貯めてきた、貴重な写真記録や、故人の周囲に聞き込みを重ねたエピソードもたくさん紹介されると思うので、この時期に名古屋にいらっしゃる方は、ぜひご参加ください。詳細は、こちらのサイトまで。

http://www.days.ne.jp/chinmeisho/event/


また、すでに現在、名古屋パルコ4階のリブロにて、「守ろう!名古屋のB級世界遺産(?)~浅野祥雲作品再生プロジェクト応援フェア」と題したフェアを開催中。「アサショープロジェクトを応援してくれるプロジェクト関係者やB級スポット関連の書籍、ムックを集めたフェアです。都築響一さんの著作約20タイトルをはじめ、 拙著『東海珍名所九十九ヶ所巡り』、ワンダーJAPANバックナンバーなど幅広く取り揃えております」ということなので、どこへ旅行しても本屋を覗かないと気がすまないみなさんは、お立ち寄りくださいませ。


そして今回で4回目を迎える、お台場のTOKYO CULTURE CULTUREでの『都築響一の世界』。最終回である今回は、さきごろ発売した『現代美術場外乱闘』をベースに、アウトサイダーからハイエンドまで、アートにまつわるさまざまなトピックを取り上げる予定です。当日だと入場料が2500円になってしまうので(高くて申し訳ありません!)、ご興味ある方は、ぜひ2000円の事前予約を!

タイ・プーケット島で毎年開催されるヴェジタリアン・フェスティバルでのボディ・パフォーマンス。こんなのがたくさん見られます!

http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_090826202565_1.htm

あと、それに先立つ10月12日、おなじカルカルで、実は隠れスナック・マニアとして知られる玉袋筋太郎による『玉袋筋太郎の"スナック玉ちゃん"』なるイベントがあるのですが、それにもゲスト出演させてもらいます。

気さくなマスター(玉ちゃん)がやっている楽しいお店です。スナックビギナーの方も大歓迎!今夜は楽しく飲んで歌って!!明朗会計!(アルバイトレディー随時募集中)
一度は入ってみたいけど入れない近所のスナック。そういうあなたにピッタリ!スナックの選び方、楽しみ方をマスターが完全レクチャーします。
今日からあなたもスナッカーズ!さぁ、その扉を開けてごらん。
      ("スナック玉ちゃん"マスター 玉袋筋太郎より)

ということで、当日はなんと「カラオケマシンも導入! みんなで歌いまくりましょう!」だそうなので、スナックに開眼したみなさまは、ご来店よろしく!!!



http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_090926202597_1.htm

メキシコのルイ・ヴィトン・ハウス!

ブログ読者さまから、こんなサイト発見リポートを頂戴しました。アメリカとの国境にある町・メキシカリ(メヒカリ)にある、「ルイ・ヴィトン・ハウス」です。わたくしの趣味を、わかってらっしゃいますねー。


ディテールを眺めてみると、かなりのこだわりが見てとれます。これはもう、ヴィトンへのリスペクトというか、オマージュ以外の、なにものでもないでしょう(ウソ)。


バハ・カリフォルニアにあるメヒカリは、メキシコとカリフォルニア、ふたつの単語をあわせてできた名称だけに、アメリカから気楽に遊びに行ける行楽スポット。西海岸観光とか出張のついでに寄って、記念写真撮ってきてください!

http://dailycontributor.com/louis-vuitton-house/7532/

2009年9月23日水曜日

今週のスナック:荒木町ドリフト


これ以上はない、というくらい都心でありながら、妙に下町っぽい気安さが漂う荒木町かいわい。


道路に面してネオンはあるけれど、ドアはふつうの家のような木の扉。もちろん中はうかがいしれず。勇気をふるってドアを開いてみれば、そこは地下に通じる急な階段。おそるおそる降りてみれば、分厚いカーテンの向こうに広がるのは、柔らかい照明に照らされて、巨大な生け花が中央に咲き誇る豪奢な空間。カウンターはなし。スナックじゃなくて、もろに高級クラブみたいな雰囲気。はっきり言って、ひじょうに敷居の高い店構えであるが・・・実は飲みほうだい、歌いほうだいでおひとりさま5000円という、非常にリーズナブルなお店なのだ。


しかもマスターの石井育雄さんは、つねに和服の粋姿。日舞のお師匠さんでもあるので、興が乗れば自慢のノドに加えて、踊りまで披露してくれる。ホテルのラウンジの雰囲気と、高級クラブの豪奢と、カラオケスナックの気楽さをぜんぶいっしょくたにしたようなドリフト。スナックの場末感覚が苦手な人にとっては、天国みたいな隠れ家です。


http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/

筑摩書房のウェブマガジン新連載!:東京右半分


なるべく都心から近いこと。なるべく家賃や物価が安いこと。エネルギッシュな町が生まれる要素は、このふたつしかない。マ スコミに教えられたのでもなく、ディベロッパーの戦略に踊らされるのでもなく、いま東京の若者たちがみずから見つけつつある新たなプレイグラウンド、それ が「東京の右半分」だ!

・・・というわけで、筑摩書房のウェブマガジンで、今月から東京の右半分を訪ね歩く連載を始めました。初回のアップが9月18日。月2回の更新で、これから2年間にわたって、体力が許すかぎり、右半分をうろつきます。なぜ右半分かといえば——

古き良き下町情緒なんかに興味はない。老舗の居酒屋も、鉢植えの並ぶ路地も、どうでもいい。気になるのは50年前じゃなく、いま生まれつつあるものだ。 都心に隣接しながら、東京の右半分は家賃も物価も、ひと昔の野暮ったいイメージのまま、左半分に比べて、ずいぶん安く抑えられている。
獣が居心地のいい巣を求めるように、カネのない、でもおもしろいことをやりたい人間は、本能的にそういう場所を見つけ出す。ニューヨークのソーホーも、ロンドンのイーストエンドも、パリのバスティーユも、そうやって生まれた。 現在進行形の東京は、六本木ヒルズにも表参道にも銀座にもありはしない。この都市のクリエイティブなパワー・バランスが、いま確実に東、つまり右半分に移動しつつあることを、君はもう知っているか。

そして、記念すべき第1回目は『下町に響け、ハワイアン 前編』ということで、浅草で50年間以上も国産ウクレレを作り続けてきた<キワヤ商会>と、伝統のワザと新しいデザインを上手にミックスさせて、楽しい手ぬぐい柄アロハを制作販売している<染の安坊>の2軒を取り上げています。



下町というと、とかく「谷根千」みたいな江戸情緒っぽいムードを求める記事やテレビ番組がほとんどなのですが、それはそれで心地よいとしても、そんなんとちがう、必要に迫られて生まれる、あたらしい生活のリアリティを、いろんな角度から探っていけたらと思ってます。始まりはマイルドだけど、これからどんどんディープになっていくので、乞うご期待! みなさまからの貴重な情報も大歓迎なので、筑摩のサイトまでお知らせくださいね。



http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/

ワンダーJAPAN:珍・済州島紀行 第2回

韓国人にとってはいまだにメジャーな観光地であり、リゾート・アイランドであるのに、日本人にとっては「あー、韓流ドラマのロケ地でしょ」ぐらいの認識しかない済州島。行ってみれば珍スポット満載、韓国屈指のロードサイド・トレジャー・アイランドをめぐる連載の2回目は、『仙女と木こり公園』と『トケビ公園』という、名前からしてアーティスティックな(笑)、2ヶ所の珍スポットを紹介します。


「羽衣伝説」の韓国版とも言うべき「仙女と木こり物語」をテーマパーク化した『仙女と木こり公園』は、伝説のジオラマもあるけれど、見所は「むかし懐かし生活コーナー」。日本でも最近よく見られる「昭和懐かし館」みたいなのの、韓国版であります。ごちゃごちゃした街並みや、商店の店先、夕餉の食卓を囲む小さな住宅、そして学校の教室まで、けっこう迫真の再現で、韓国人は全員ノスタルジアにウルウルしながら記念写真を激写。日本人にとっても、なんとなく懐かしさがこみ上げてくる、ほのぼの観光スポットであります。



いっぽう『トケビ公園』のほうは、韓国の美術大学教授率いるアート・スチューデントたちが腕をふるった「世界のおばけテーマパーク」。ちなみにトケビとは、韓国の民話に登場する鬼のことで、広々とした園内には、やたらとカラフルでポップなおばけたちが、解説によれば総勢1800体もいる!。むしろビザールな彫刻公園みたいで、こちらも観光ガイドにはまず載らない、隠れ珍名所でありました。




紀伊國屋書店『SCRIPTA』書評連載:『Between C&D』


紀伊國屋書店が季刊で配布している広報誌スクリプタで連載中の書評、「読みびとしらず」。今号で取り上げているのは『Between C&D』という、1980年代前半にニューヨークのロウアー・イーストサイドで発売されていた、文学系自費出版雑誌。

1983年に創刊され、1990年まで続いた『Between C & D』には、当時の文学界きってのパンクスと言われたキャシー・アッカーをはじめ、パトリック・マグラア、デニス・クーパー、ゲイリー・インディアナ、リン・ティルマン、そして日本でもそのあと知られるようになったタマ・ジャノヴィッツなど、とびきりイキのいい面子が登場していました。『Between C & D』というタイトルは、「アヴェニューCとDのあいだ」という、ロウアー・イーストを直接指し示す言葉であると同時に、C=コカイン、D=ドープ(マリファナ)をも暗示しています。

「セックス、ドラッグ、デインジャー、ヴァイオレンス、コンピュータ」をキーワードとしていた『Between C & D』。なぜいまごろこんな古い雑誌を取り上げたのかと言えば、いま本棚を大整理しているからなのですが、この小規模な(というかマイクロ・スケールな)雑誌が、実は僕にとって、本づくりで目指す方向を教えてくれた、もっとも重要な出会いのひとつだったから。


詳しくは紀伊国屋でスクリプタを手に入れて読んでほしいのですが、『Between C&D』のすごかったのは、その連載人もさることながら、そのフォーマット。ふつうの印刷製本ではなくて、それは両側に穴が開いて、ページごとにミシン目が入っているコンピュータ用紙に(いまでも企業の伝票などに使われている、あの用紙だ)、ドットインパクト・プリンタでプリントされていたのです。


 ドットインパクト・プリンタ特有の、ギザギザした文字がダーッと並んでいるプリントアウトが、経典のような折り本になって、それがジップロック(ビニール袋)に入って、「雑誌」として売られているのを初めて見つけたとき、僕は「そうか、こういうのもアリだったか!」と驚くとともに、すごく悔しかったのを覚えています。

本をつくるときに、だれもが目指しがちな「重くて高く」ではなく、「軽くて安く」あること。「じっくり手間ヒマかけて」ではなく、「思い立った、その瞬間にかたちにできる」こと。そのほうが文化の最前線にあっては、はるかにポジティブであり、エレガントでさえあること。それをあんなにクールなかたちで思い知らされたのは、あれが初めてでした。

いまは手に入れることが難しいでしょうが、せめて記事で、その感覚のカケラだけでも、感じ取っていただけたら幸いです。

アサヒカメラ連載『今夜も来夢来人で』:広島


国道沿いに大型書店やディスカウント・ストアやファストフード店が並ぶ、広島の典型的な郊外タウン。国道から一本入った旧道沿いの、1階が安売り眼鏡屋になっているビルの2階に目指すスナック、<ナイトイン来夢来人>があった。
 広島生まれ、広島育ち、「広島から出ようと思ったことなんて、いちどもない!」という細谷尚子ママが来夢来人を開いて、来年3月で13年になる。


地元の高校を卒業して、19歳で早々と結婚。若妻になって子供も生まれたけれど、ワケあって離婚。自分の店を持つことになった。「お酒も大好きで、酔っぱ らうとハイテンションになって踊り出したりしちゃうんで、お客さんじゃなくて自分が出入り禁止になっちゃいそう」と笑うだけあって、ほんとにこの商売が体 質的にぴったりなんだろう。「毎晩飲むでしょ、だから昼はウォーキングを30〜40分やって、お酒を抜く。あとはレバーをたくさん食べれば大丈夫!」だそ うです。



月刊『アートコレクター』のインタビュー

ちょっと前に発表した『現代美術場外乱闘』のインタビューが、月刊『アートコレクター』という雑誌に掲載されています。

あまりなじみがないかもしれませんが、「見る楽しみ・買う楽しみ」というサブタイトルがついたこの雑誌、なんだか難しいだけの現代美術雑誌より、ある意味ぜんぜんおもしろいです! 僕のインタビューは1ページだけの短いものなので、まあてきとうに読み飛ばしてくれればいいんですが、注目はいつも最後の10ページぐらいにわたって掲載されている、国内外のオークション・ガイド。これからのオークションの目玉作品と予想落札価格、そして最近のオークション落札結果が、きっちり掲載されてるんですね。

藤田嗣治『猫』900万円(毎日「絵画・版画・彫刻 夏のメインセール」7/25)
ルノワール『林檎のある静物』1200万円(シンワ「近代美術」7/18)
パブロ・ピカソ『剣を持った男』約11億円(サザビーズ・ロンドン「印象派・近代6/24)

なんて、有名どころの値段に溜息をつくのも楽しいし、草間弥生から奈良美智まで、おなじみの現代作家が「こんなに高いんだ!」とびっくりするの、また一興。しかしほんとうに興味深いのは、少なくとも現代美術館や美術メディアではまったく聞かれないのに、実はものすごく高い、現代の日本作家を知れること。

たとえば8月号に載っていた、「『21世紀展』でわかるトレンド作家たち」という記事によれば、現代洋画のトップ5は、

1位 森本草介
2位 絹谷幸二
3位 島村信之
4位 中山忠彦
5位 中村清治

だそうです。このうち、何人知ってます? 僕は不勉強にして、2位しか知りませんでした。で、1位の森本さんは、10号の作品で2900万円! しかもこのプライスは、業者間の取引価格なので、実際に画廊で一般人が買うときには、もっと高くなるらしい。

号という単位は、だいたい葉書1枚分で、10号は53x45センチぐらい。ちなみに日本画の1位は平山郁夫で、これは20号で3380万円。号あたりに換算すると、なんと森本さんのほうが平山先生より高い!わけですが、いったいどれくらいの現代美術業界人が、森本草介という名前を知っているでしょう。ちょうど打ち合わせで広島現代美術館に行ったので、そこにいた学芸員たちに聞いてみたのですが、だれも知りませんでした! 森本草介がどんな絵を描くのか、それは各自でネットなどチェックしてみてください。これまた、ちょっと驚きますよ(たぶん)。

メディアに載る「現代」と、実際にカネと作品が動くリアルな「現代」には、これほどのギャップがある。それを知ったのは、ちょっとショックでもあり、教えられるところ大でした。



長野は日本のガラパゴスか? 『信濃の国』と『完全無言清掃』

こないだ長野県高遠に、レクチャーに招かれたときのこと。かねてから気になっていた「長野の特殊性」について、参加者に尋ねることができました。
長野県出身の友達に、前から聞いてはいたのですが、半信半疑だったことがふたつ:

1)長野県民は子供のころから「県歌」である『信濃の国』という歌を全員が歌える。
2)長野県民は、小学校でも中学校でも、授業の終わったあとの清掃時間に、口を聞いてはいけない「無言清掃」という習慣がある。

 信濃の国は 十州に 境連ぬる 国にして
 聳ゆる山は いや高く 流るる川は いや遠し
 松本 伊那 佐久 善光寺 四つの平は 肥沃の地
 海こそなけれ 物さわに 万ず足らわぬ 事ぞなき『信濃の国』は

と、信濃がいかにいいとこであるかを6番まで、6分間あまりにわたって自慢しまくる『信濃の国』。友達がいちどカラオケで絶唱するのにびっくりしたら、「長野じゃ全員歌えるんですよ! 東京だって、「東京の歌」歌えるでしょ!」と言われ、ふたたび絶句。そんなわけないじゃん、だいたい東京の歌なんて、あることすら知らないと言ったら、あちらがびっくり。しかしウィキペディアによれば、

『信濃の国』はかつて、長野県内の多くの小学校・中学校・高校で、さまざまな行事の際に歌われてきたため、俗に「長野県内で育った者なら、全員が『信濃の 国』を歌える」「会議や宴会の締めでは、必ず『信濃の国』が合唱される」「『信濃の国』を歌えない者はよそ者」とやや誇張気味に語られるほど、長野県民に 深く浸透していた。日本の都道府県歌は、 住民にとってあまりなじみがない場合が多く、存在すら認識されていない例もあるため、『信濃の国』は、「日本で最も有名な県歌」とも言える歌である。現在 でも、県外(多くは国)から県幹部職員を着任させる時、県会に同意了解を求めるが、他県出身の人事を快しとしない県議員からは、『信濃の国』を知っている かどうかを詰問する風景が見られることもある。

ということだそうで、レクチャーの参加者に聞いてみると、半分は東京組、半分が長野組だったのですが、長野組は全員迷わず「そのとおり」に挙手。東京組がひとりも手を挙げないのを見て、おたがい絶句しあってました。『信濃の国』は、どんな通信カラオケにも入ってるし、いまやYoutubeでもチェックできるし、

http://www.youtube.com/watch?v=torIjweSqrU

パラパラバージョンも、英語版も(!)あるそうなので、ヒマな人はチェックしてみてください。

そして無言清掃! これまた長野組と東京組が絶句しあった奇習(失礼!)で、とにかく清掃中はぜったいに口を聞かない。たとえばひとりが机の片側を持てば、もう片側を持つ人を、ホウキを持てば、もうひとりチリトリを持つ人を呼びたくなるわけですが、そこで声を出してはいけない! そうじゃなくて、おたがい動きをチェックしあっていて、必要なときは声に出さずとも「察しろ!」という、他県から見ればありえないシステム・・・ですが、いまだに長野県下の学校では、一般的だそうです。そうやって「完全無言清掃」を目指して、全校一丸となって真剣に清掃に取り組んだ結果、「光る廊下になりました」なんて報告がネットでもたくさん見られるので、信じられない人はチェックしてみること。

http://www.mcnet.ed.jp/hongo-c/seitokai/seisou/seisou.html

ほかにも「無言給食」、「麦茶には砂糖を入れる」、「学校ではクラス替えがない」など、長野県人だけが「それ、ふつうでしょ」と思ってる風習がたくさんありそう。さすが教育県ですねー。運転マナーは日本最悪らしいけど。
みなさんも身近な長野出身者を探して、飲みに誘ってみましょう。

2009年9月17日木曜日

演歌よ今夜も有難う、第9回アップしました!


あの人は車をとめた
私は笑ってみせた
あの人はくちびる求め
私は黙ってうけた
いいのねこのまま別れても
自分の心に聞いてみた
あの人はため息ついた
私は黙って泣いた
幸せばかりが飛んでゆく
二人のドラマは終わったの
あの人はあしたへ向かう
私はきのうへもどる

  『想い出』あずさ愛(作詞 岩城健治)


渡されたシングルCDは、久しぶりに見る縦長サイズのパッケージに、ノートパソコンには入らない8センチ・サイズの盤だった。めんどくさいなー、と思いながらプレイヤーにCDをセットして、「あの人は〜〜」と最初のフレーズが流れたとたん、思わず座りなおす。桂銀淑(ケイ・ウンスク)ばりのハスキー・ヴォイスと、全盛期の弘田三枝子を思わせるグルーヴ。素直な、というか引っかかりのない、カラオケで歌いやすい曲ばかりを聴かされる最近の演歌界にあって、久しぶりにザラリとした声のエネルギーに出会った気がした。こういう歌手が、こういう曲が、どうして話題にもならず、埋もれているのだろう。


あずさ愛さんは、秋田県秋田市生まれ。いまも秋田と東京を行き来しながら、地道な活動を続ける歌手である。会社員の家に生まれ、「父がよく歌ってた青江美奈の『池袋の夜』と、みんなが集まれば歌う秋田音頭みたいな民謡、そういうのを聴きながら」育ちましたというあずささんは、しかし子供のころは人前で歌うなんて、とても考えられないという、人見知りの激しい少女だった・・・。

http://blog.heibonsha.co.jp/enka/2009/09/post-8.html

今週のスナック:三軒茶屋オスカー



国道246と世田谷通りに挟まれた三軒茶屋の三角州地帯。昔ながらの名画座や居酒屋、スナックが狭い路地にひしめく、ひじょうに居心地のよろしいエリアである。
奥まった、なかみち街の路地に面して、青と赤紫の、いかにも夜の世界っぽい看板を出しているのが<BARオスカー>。バーと名がつくだけあって、すっと伸びるカウンターに、白いクロスを掛けたスツール。渋いバーテンダー。でもカラオケもあって、お客さんは夜ごと絶唱。本格的なカクテルもいただければ、焼酎のボトルキープもできるという、バーとスナックのいいところを併せたような、使い勝手のいいお店だ。


世田谷で生まれ育った白石マスターが、進駐軍のバーで修行したのち、オスカーを開いたのが1960(昭和35)年のこと。それからもう、来年で50周年! 三軒茶屋でいまも営業しているバーでは、もちろんいちばんの古株だ。
ホテルのバーのクオリティと、場末のスナックの開放感。まるで反対のキャラクターが、この小さな店には、奇跡的にうまくブレンドされているようだ。まるで、マスターが作ってくれるカクテルみたいに。


http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/002/post-41.php

上海スタイル:第3回が発売されました!


上海市中心部から、地下鉄で15分ほど。外国人観光客ゼロの、四角いアパートが並ぶ住宅街に新居を構えている、おたがい26歳、2年前に結婚したばかりの若夫婦。いまだにハネムーンの雰囲気がむっちり立ちこめる、ラブリーな住空間だ。

新婚のふたりが選んだのは、1956(昭和31)年に建てられたというアパート。木製の階段や手すりなど、ヨーロピアンな租界とはひと味ちがう、古き良きチャイニーズ・テイストがあって、古いながらも素朴で落ちついた雰囲気。


奥様の趣味を尊重して、シンプルなスタイルを基調にしたインテリアは、「家具はぜんぶIKEAでしょ、内装と家具で5万元(約70万円)、あとテレビとか家電にも5万元使いました」。おかげで建てられて半世紀以上の歴史が染みついた外側とは好対照の、ピカピカなハネムーン・スイートに仕上がっている。
幸せって、こういうかたちをしてるのかもね。



アサヒカメラ連載:今夜も来夢来人で:広島


国道沿いに大型書店やディスカウント・ストアやファストフード店が並ぶ、広島の典型的な郊外タウン。国道から一本入った旧道沿いの、1階が安売り眼鏡屋になっているビルの2階に目指すスナック、<ナイトイン来夢来人>があった。

広島生まれ、広島育ち、「広島から出ようと思ったことなんて、いちどもない!」という細谷尚子ママが来夢来人を開いて、来年3月で13年になる。


地元の高校を卒業して、19歳で早々と結婚。若妻になって子供も生まれたけれど、ワケあって離婚。自分の店を持つことになった。「お酒も大好きで、酔っぱ らうとハイテンションになって踊り出したりしちゃうんで、お客さんじゃなくて自分が出入り禁止になっちゃいそう」と笑うだけあって、ほんとにこの商売が体 質的にぴったりなんだろう。「毎晩飲むでしょ、だから昼はウォーキングを30〜40分やって、お酒を抜く。あとはレバーをたくさん食べれば大丈夫!」だそ うです。



2009年9月9日水曜日

今週のスナック:高円寺うま


ちょっと前は貧乏若者用の定食屋と風俗店ばかりが並んでたのに、気がついてみたらお洒落古着屋やカフェが増殖中。最近、雰囲気がかわりつつある高円寺北口の、商店街のビルの地下にスナック<うま>がある。


 壽盛尚子(すもりなおこ)ママは、中央競馬会に30年以上勤める超ベテラン。そのかたわらで喫茶店を開き、それからスナック経営に転じたという、超のつく働き者。なんたって、この店は休日なし! いつ来ても開いてて、しかも開店は午後4時! しかも酒だけじゃなくて、ご飯もちゃんと作ってくれる! なんかもう、店というより実家の台所みたいな気分です。


 高円寺の若者くささに辟易してるオトナのみなさんには、イチオシの隠れ名店でありました。


http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/