2009年5月29日金曜日

お水スーツ研究

スナックに欠かせないものはまず第一にママさん、お酒、カラオケマシン、それに”お水スーツ”だ。グンと張り出した肩パッド、ダブルのボタンをきゅっと絞ったウェストライン、胸から覗くレースのビスチェ、そしてもちろんミニスカートにハイヒール・・・バブル全盛期のゴルチェやティエリー・ミュグレー、あるいはボディコンの元祖といわれるアザディン・アライヤを思わせる、それは大胆なシェイプであり、大胆な色づかいであり、大胆な女らしさのアピールだ。
 ファッション雑誌で見かけるのはコムデギャルソンみたいなハイ・ブランドばかりだし、昼間の街で見かけるのはユニクロや無印良品ばかりだけれど、夜の酒場で見かけるのは全国共通、いまだにお水スーツが圧倒的だ(キャバクラ的な店になればドレスが主流だが)。
 それなのにお水スーツを取り上げるファッション・メディアはいまも昔も、ひとつとして存在しない。グルメ雑誌に出てくる夜の酒場は、白髪の渋いバーテンダーがシェイカーを振る老舗バーとか、パリ風のワインバーとか、何十年も続く立ち飲み居酒屋とか、そんなのばかりだけれど、いまだに日本のオトナの9割は、「今夜飲みに行く」といったら、それは「スナックに行く」というのと同義語なはず。それなのにスナックのガイドブックや雑誌の特集がひとつとしてないのと、その不思議な状況はよく似ている。
 
 出版社アスペクトのPR誌『ASPECT』で連載してきた「お水スーツ」研究、完結編となる今回は、知られざるスナック王国・愛媛県宇和島市の<スナック・タイガー&ラビット>の山本かすみママが登場。画家の大竹伸朗君も常連だという名店で、珠玉のオールドスクール系お水スーツ・コレクションを披露してもらいました。
 ディープ・ソウルな味すら漂わせる配色と、いやらしすぎず、上品すぎず、絶妙なラインのシルエット。いまでは入手困難な正統派お水スーツの完成形を、涙の着せ替え合成写真で堪能してください。


店頭で無料配布される『ASPECT』は、お近くの書店では見つけにくいかもしれません。お問い合わせはこちらまで。
http://www.aspect.co.jp/np/inquiry.do