2009年5月29日金曜日

今週のスナック:目黒不動前・揚羽屋


あっというまに25回目になってしまった、廣済堂ウェブマガジン「読んどこ」の週刊連載『東京スナック魅酒乱 天国は水割りの味がする』。
 今週は目黒不動前のスナック、揚羽屋です。30年間タクシーの運転手を務めたマスターが、車庫を店に改造して、ひとりで切り盛りする、一見地味な店。しかしお話をうかがってみれば、おそろしいまでにハードコアな半生! 天国だけじゃなくて、地獄も水割りの味がするのかも・・・。

京都でいちばん汚い飲み屋!

シンプルを単純と訳すのか、簡潔と訳すのか。
整理するよりも、新しい刺激が入ってくるほうがずっと多いとき、そこにダイナミズムが生まれる。
きれいなだけの商空間に、もう食傷してはいないか。ほしいのはデザインではなく、エネルギーなのに。
オレにも持てる場所ではなく、オレだけが持てる場所を。


月刊『商店建築』でひっそり始まっている隔月連載・「オレサマ商店建築」。6月号では、一説によれば“京都でいちばん汚い飲み屋”、しかし文化人に外国人研究者、そしてなぜか大量の若き美女で連夜賑わうという謎の店、木屋町の『八文字屋』を取り上げています。


八文字屋と同じくらい汚くて、しかも同じくらい居心地のいい食堂・ほんやら洞のオーナーでもある店主・甲斐扶佐義さんの、エネルギッシュな半生ともどもご覧いただき、次の京都行きではぜひ、お立ち寄りください!

演歌よ今夜も有難う:平凡社ウェブの新連載!

 たったひとり部屋にこもって“宅録”した音源や、友達とバンドを組んで貸しスタジオで録ったテープを、お小遣いを使ってCDにして、レコード屋の自主制作コーナーに置いてもらう。それがいつのまにか評判になり、気がついたら“メジャー・デビュー”してロック・スターの仲間入り。そんなサクセス・ストーリーが、ポップスの世界ではあたりまえに起きている。でも、演歌や歌謡曲でも、同じように自分の貯金をはたいてCDを出したり、カラオケ喫茶や健康ランドや、テレビとラジオ以外のマイナーな場所で歌いつづけ、がんばりつづけている人がたくさんいることを、僕らはほとんど知らされていない。
 僕らがカラオケで歌うのは演歌や歌謡曲であることが圧倒的に多いのに、いちばん身近にある歌の世界が、この国ではいちばん過酷な状況に追い詰められている。
 プロの歌手としてデビュー以来、半世紀以上歌いつづけているベテランから、この時代にあえて演歌歌手を目指してバイト代を自主制作CDにつぎ込む若手まで、レベルや芸歴はさまざまでも、歌に賭ける思いの深さはだれにも負けない、そういう歌い手たちを訪ね歩く旅。
 テレビ局と広告代理店とプロダクションがつるんで、でっちあげていくスカスカの歌があり、スナックのステージや商店街の雑踏の中で、ときに無視され、ときに涙と声援を受けながら、うたいつづけられる歌がある。
 君はどちらの歌を選ぶだろうか。君はどちらの歌に選ばれるだろうか。


知られざるインディーズ演歌の星を訪ね歩く平凡社ウェブマガジンの新連載、毎月15日と30日、月2回の更新で、すでにスタートしています。


第1回は音楽生活54年目、現在72歳にしてバリバリ現役のケニー池田さん。 第2回は世田谷区のゴミ収集車のハンドルを握りながら、老人ホーム慰問に命をかける大門信也さん(5月30日アップ)。


サイトではご本人の歌声も試聴できます!

お水スーツ研究

スナックに欠かせないものはまず第一にママさん、お酒、カラオケマシン、それに”お水スーツ”だ。グンと張り出した肩パッド、ダブルのボタンをきゅっと絞ったウェストライン、胸から覗くレースのビスチェ、そしてもちろんミニスカートにハイヒール・・・バブル全盛期のゴルチェやティエリー・ミュグレー、あるいはボディコンの元祖といわれるアザディン・アライヤを思わせる、それは大胆なシェイプであり、大胆な色づかいであり、大胆な女らしさのアピールだ。
 ファッション雑誌で見かけるのはコムデギャルソンみたいなハイ・ブランドばかりだし、昼間の街で見かけるのはユニクロや無印良品ばかりだけれど、夜の酒場で見かけるのは全国共通、いまだにお水スーツが圧倒的だ(キャバクラ的な店になればドレスが主流だが)。
 それなのにお水スーツを取り上げるファッション・メディアはいまも昔も、ひとつとして存在しない。グルメ雑誌に出てくる夜の酒場は、白髪の渋いバーテンダーがシェイカーを振る老舗バーとか、パリ風のワインバーとか、何十年も続く立ち飲み居酒屋とか、そんなのばかりだけれど、いまだに日本のオトナの9割は、「今夜飲みに行く」といったら、それは「スナックに行く」というのと同義語なはず。それなのにスナックのガイドブックや雑誌の特集がひとつとしてないのと、その不思議な状況はよく似ている。
 
 出版社アスペクトのPR誌『ASPECT』で連載してきた「お水スーツ」研究、完結編となる今回は、知られざるスナック王国・愛媛県宇和島市の<スナック・タイガー&ラビット>の山本かすみママが登場。画家の大竹伸朗君も常連だという名店で、珠玉のオールドスクール系お水スーツ・コレクションを披露してもらいました。
 ディープ・ソウルな味すら漂わせる配色と、いやらしすぎず、上品すぎず、絶妙なラインのシルエット。いまでは入手困難な正統派お水スーツの完成形を、涙の着せ替え合成写真で堪能してください。


店頭で無料配布される『ASPECT』は、お近くの書店では見つけにくいかもしれません。お問い合わせはこちらまで。
http://www.aspect.co.jp/np/inquiry.do